狼と忠犬 2 「―――という訳で、明日から生徒会の人とフロアで昼食一緒に…って話になったんだよ。」 「…………。」 「…………。」 おいコラ、堤と同じようにマルっと略してんじゃねーよ。 教室に戻るなり、辻本は一目ぼれしたらしい生徒会書記の聖くんがいかに素晴しく穏やかで可愛らしく笑顔眩しい天使のようなetc.…もう途中から、聞くのをやめた。一通り話して満足したらしい馬鹿が「それでさ、」とやっと本題に入る。 「聖君は俺みたいなタイプは何か初めてらしくて、ちょっとだけならお友達からでも…とか言ってくれちゃったんだよ!」 へー。 「いや〜、今までずっと共学で、女の子大好きだったんだけど…聖君はもう別世界の天使だよな!マジ、エンジェル!もう学園の妖精?」 ほー。 「でも、お友達からって言ったって、彼はS組俺はC…接点が無いんだよ。」 ふーん。 「そしたら…じゃあ、お昼一緒に良かったらどうですかって!……でもさ、俺1人が2階フロアに行くのは、ちょっとマズイんじゃないかって話になって。どうしようかって言ってたら――隣から、ずーっと興味なさそうにしてた生徒会長が『友達一緒だったらいいけどな。』って!!」 へぇー……ん? 「――だから、今日一緒だった奴連れて行きますって言っといた!お前ら頼むっ!」 はぁあああああ!!? なんでお前の為に、生徒会の人間と一緒に昼飯とか食べないといけないんだ!?アホか! 「―――絶対無理。」 珍しく堤も堅い声で辞退している。少し戻っていた顔色が、また土気色に進化していた。 「…俺も嫌です。」 「えええ!何でっ!だって一般生徒の俺が1人だけはマズイって言われちゃったんだもんっっ。」 もんとか言っても、全く心は動かないですが? コイツはもう無視しよう――そう結論づけて置いていた本を手元に戻した時、肩を落とした辻本が仕方ない…と呟いた。 「……わかったよ。じゃあ…帰ったら、日影に頼んでみるから、もいい「行きます。」…へ?」 光の速さで返事しました。 「明日ですか?」 「ん?…ええ?近衛、一緒に行ってくれんの!?」 「………当然です。堤と3人で行きましょう。」 「えええ――!俺もかいっっ!!」 こうして何故か、昼休みは3人で食堂の2階フロアへ行く事になってしまった。 ――――日影さまと同じお弁当…諦めるのは嫌だから、休憩時間に急いで食べよう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |