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Offering
嫌だけど、でも、・・・。(元親×元就)
目の前に居座るその少年は、まるで邪心がないような笑顔で我に笑いかけた。

「ね、松寿丸、遊ぼ?」

弥三郎・・・という名前だった気がする。

目の前でニコニコと笑う(おなごのような)少年は、そう云って我に手を差し伸べた。

「何故我と・・・」

「え?そんなの、松寿丸と仲良くしたいからに決まってるじゃん」

「我と仲良く?戯言をほざくな」

「戯言じゃないよ?本心だもん」

・・・さっきからこのような感じだった。

ああ云えばこう云う。

どれだけ拒否しても奴はズカズカと遠慮なく我の境界を踏み込んでくる。

「何が本心だ」

「遊びたいってこと」

「・・・・・」

我は遊びたくないし、寧ろ帰りたいと思っている。

・・・ただ、土佐から安芸まで一人で帰るのは、子供の我では至難の業なのであくまで思っているだけである。

父上が帰ってくるまで預けられたのだ。

歳が近い子がいるから、その子と遊んで待っているように、と仰っていたが、とてもではない。

絶対嫌だ。鬱陶しい。

こんな餓鬼と一緒にいれぬわ!!

「・・・松寿丸、怒った・・・?」

「既に怒っておるわ」

「・・・・・ッ」

我が云い終わるかどうかの内に、パッと弥三郎は駆けていった。

「・・・弥三郎・・・・・ッ!?」

慌てて追いかけるが、とても追いつかない。

「そっちは・・・・・ッ!」

弥三郎の親に云われたことをふと思い出す。


―危ないからそちらに行くなよ・・・


「・・・・・チッ・・・」

無理矢理にでも連れ戻さなければ。


地面を蹴った。





「・・・ッ、はぁ、・・・はぁ・・・・・ッ」

闇雲に弥三郎が行ったほうに走ったら、いつの間にか森に迷い込んでいた。

「どちらに向かった・・・?」

キョロキョロと見回すが、痕跡なんて何処にも残っていやしない。

「・・・・ッ、馬鹿が・・・」

適当な方向に足を向ける。

「だから嫌だったのだ・・・ッ」

こんな子守紛いのことなんて。

「弥三郎・・・ッ!」

怪我とかしていなければいいが・・・。





それからどのくらい探し回っただろうか。

ふと前方を見ると、見覚えのある銀髪が視界に入った。

「弥三郎!」

「・・・まつじゅ、まる・・・?」

振り向いた弥三郎の口が動く。

その直後だった。


―ズルッ


「・・・え、」

驚愕に満ちた表情の弥三郎。

思わず駆け寄る我。

「弥三郎・・・!!」

「松寿丸・・・、助けて・・・!」

そう云って手を伸ばすも、我の手は空を切って。


―ズザッ・・・


「・・・っ、たぁ・・・」

思ったよりその崖は低かったらしく、上から弥三郎の無事が分かる。

「・・・大丈夫か?」

「・・・・・足が、痛くて動かない・・・」

・・・前言撤回。

全く無事ではないようだ・・・





その後、我は少し回ってきてその崖の下に行き、弥三郎に肩を貸して屋敷に戻ってきた。

勿論ものすごく叱られたが、それでもよかった。

「・・・さっきはゴメンね、・・・松寿丸の気も知らずにあんなこと云っちゃって・・・」

「我こそすまぬ。・・・貴様の言葉を無碍にして・・・・・」


・・・弥三郎の新たな一面を見れたから。

























(・・・結局、足は骨折したらしい・・・・・)












流離刃様より666番リク
チカナリ小説


チカナリなんて殆ど初めて書きましたが・・・

こんなのでよかったでしょうか?

・・・しかもチカナリじゃなくなってる気も・・・。


リクありがとうございます!!

これからも是非いらしてください(^^*

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