Short 戦。(佐助×政宗)★ 一応大阪夏の陣という設定。 ☆:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:☆ こんな真昼間から寝れるなんていい時代だと思う。 それも、敵方の大将だった人と寝れるなんて。 「ねー、政宗ー」 「Ah?」 「平和だねー」 「・・・だな・・・・・」 横で寝ていた政宗が返事をする。 ・・・尤も、彼は別のことに気を取られているようで、心有らずみたいな感じだったが。 別に明快な答えなど必要としてなかったので、俺は再び横になる。 それから半刻ぐらいしてウトウトしてきた頃だった。 「佐助」 「・・・んぅ?」 「これから、戦になって離れるかもしれねぇな」 「・・・は?」 思わず上半身を起こす。 「戦って?」 「Ha、平和呆気して戦の意味も忘れたか?」 「質問の仕方を間違えた。どうして戦が起こると思うの?」 「豊臣があれで引き下がると思えねぇ。それだけだ」 「・・・・・」 豊臣・・・あの覇王や凶王の元凶・・・ 「石田がいなくなって、長曾我部が徳川と和解した今、豊臣で今一番大きい勢力といえば・・・」 チラリ、とこちらを見てくる。 「・・・敵対するね」 「That's right・・・あんただけでも、こっちに来てくれりゃいいが、そうもいかねぇだろ・・・・・」 「うん、多分・・・っていうか、絶対無理」 小さく頭を振ると、だよな、と政宗も哀しそうに笑った。 「・・・まぁ、杞憂で終わればいいけどな」 「・・・・・うん」 けれど、杞憂なんかじゃないのは、この二人が一番知っていて。 それをお互い解っていたから、俺が政宗の腕に顔を埋めても、少し笑われるだけだった。 ☆ 政宗の目論見はやっぱり正しかった。 「・・・え、本気で云ってるの、ソレ!?」 「うむ、大阪に入る」 「・・・・・ッ」 大阪・・・即ち、秀頼公の居城。 そこに入る、ということは、徳川と同盟を組んでいる伊達とは敵対するということで。 豊臣に入れば滅亡するのは目に見えてるのに。 「助けを求められたら、助けるのが人として当然だろう?」 「・・・・・」 もう、腹を括るしかないようだった。 ☆ 「・・・・・たくさんいるねぇ・・・、」 堀を埋められた城なんて城じゃない。 「・・・否、いるっていうか・・・あるね」 元和元年五月七日。 多々の屍から発される異臭に顔を顰めながらも、ただ地を踏みしめた。 「・・・お互い共壊滅的大打撃食らってるね・・・・・」 後方にいる旦那に声をかける。 「・・・でも、確実にこっちが不利だけど?」 「解っている・・・」 小さく呟いた旦那を尻目に、再び歩き出す。 「徳川の旦那を叩かないと、犠牲はこんなもんじゃ済まなくなる。けど・・・・・」 チラリ、と北の方角を見た。 「・・・竜も来たらしいよ」 「政宗殿が・・・!?」 「・・・・・」 何も云いたくなかった。 恐れてたことだった。 それまでにどうにか蹴りをつけて、これだけは、絶対避けたかったのに。 けれど・・・・・ けれど、こうなった以上は。 「・・・俺が単騎で、徳川殿を討ちに行く」 「・・・解った」 好敵手じゃなくて、大将を選んだか・・・ 「・・・じゃぁ、俺様は秀頼公の護衛に入るわ」 「うむ。任せたぞ、佐助」 「・・・・・了解、大将」 ☆ その夜。 俺はあの日と同じように、政宗の腕の中にいた。 「・・・駄目かもしんない」 「らしいな・・・・・」 「・・・もう、あんたに会えない」 「I Know・・・・・」 政宗の腰に回してる手を少し強くした。 「杞憂じゃなかったね・・・」 「・・・こういう運命だった、としか云えねぇな」 「・・・・・だね・・・」 朦朧とする意識の中、少しだけ俺ははにかんだ。 「・・・また、一緒に南蛮菓子でも作ろうよ」 「OK」 「それ持ってさ、どっか景色いいとこに行ってさ、一緒に花見とかしてさ・・・」 「Hun・・・楽しそうじゃねぇか」 「でしょ?・・・あと、奥州のいいお酒とか持ってきてよ?」 「All right。任せな、とびきりのを持ってきてやる」 「・・・・・ありがと」 ガクン、と力が抜ける。 「・・・政宗、」 「Un?どーした、佐助?」 「・・・眠くなってきちゃった・・・」 「OK、ゆっくり休め。Picnicの話は、またあんたが起きてからにするか」 「・・・うん、そうしよ・・・。じゃぁ、おやすみ・・・・・」 「Good night、佐助。いい夢を見ろよ」 ―元和元年五月七日 大阪城炎上。 真田軍忍頭 猿飛佐助、大阪城で討死― (あっちで待ってるから、ね?) ☆:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:☆ 最期の政宗と佐助の会話は、全部佐助の幻想。 でも政宗も夢で全く同じ光景を体験してたらいいなぁ・・・と思う・・・。 [*前へ][次へ#] [戻る] |