Short 風。(佐助×政宗) 何か風邪がこの間まで流行っていたのをきっかけに書いてみたもの。 ☆:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:☆ これは、許されない二人の、ちょっとした話。 「・・・・・」 米沢の城の天守に一番近い杉の木の枝に、一人の忍がいた。 言うまでもないが、それが俺である。 「やれやれ・・・・・風邪が流行ってるとはいえ、あの竜の旦那までねぇ・・・・・」 傍目から見ている限りでも、かなり辛そうだ。 おまけに右目の旦那がいつもいるから、俺が見舞いに行こうにもとてもじゃないが行けたものではない。 (いろんな意味で)返り討ちに遭うのが目に見えている。 「大丈夫かな・・・」 ここからでも竜の旦那の荒めの息遣いが少し聞こえる。 それが何故か、俺を責めているようで。 「せめて、右目の旦那だけでもいなくなれば・・・って何考えてんだか」 まぁ、夜まで待つのが得策か。 どっちにせよ、会って話をしてくるまでは粘るつもりだ。 そのためだけに旦那に休みを貰ったのだから。 やがて夜更けになってくると、目論見どおり、右目の旦那は自分の屋敷に戻って行った。 そこで俺様はそれ幸い・・・と言わんばかりに屋根伝いに忍び込む。 「政宗ー、俺様が遊びに来ましたよーっと」 「・・・さすけ・・・・・?」 油を差すための受け皿を台から下ろし、そこに火をつける。 小さな灯りに照らされ、少し、・・・否、結構辛そうな顔の愛しい人の顔が眼に映る。 それは政宗も同じだったようで、自分の信念だとか言っていた、辛くても他人に寝る姿を見せない、というのを実行しようとしていたので慌てて肩を押し戻す。 「寝てなって・・・どうせ俺様しかいないんだしさ」 「Thanks・・・」 何だかんだ言ってもやっぱり辛いらしく、素直に従った政宗を見、小さく笑みを零す。 「・・・って、笑うな・・・・・」 「えー別に笑ってないけどー?」 「笑ってんじゃねーか・・・」 「はいはい。もう寝てなって」 「・・・寝たらアンタ帰んだろ・・・・・?」 「うん?・・・まーね」 そりゃ俺だっていたいけど、政宗の体調とか考えると、さっさと御暇した方がいいだろう。 「・・・何で?」 「・・・・・帰っちゃヤダ・・・」 「・・・・・」 「風邪引いてから全然会ってねぇだろ・・・?たまにはずっといろ・・・」 「・・・分かった」 そう笑い、サラサラな政宗の髪を撫でる。 「朝日が昇るまでは、ずっといるから」 「Thanks・・・佐助・・・ッ」 「はいはい」 いつもよりずっと弱い力で抱き付いてくる政宗を撫でながら、いろんなことを考える。 ・・・まぁ、全部政宗のことだけど。 ・・・と、そこで、自分がお土産代りに持ってきたものを懐から出す。 「そういや、南蛮の薬草で作ったっていう風邪薬あるけど飲む?」 「南蛮の・・・?すげぇ強そうじゃねぇか・・・・・」 「まぁねー。結構効くらしいし、どうする?」 「Ah・・・じゃぁ・・・・・」 わざわざ日ノ本でなかなか出回っていない南蛮製の錠剤を持ってきたのは意味がある。 一つは、早く元気になってほしいから。 もう一つは・・・ 「ちょ、Wait・・・何を・・・・・ッ」 「こんなこととか・・・ね?」 ―Chu 「・・・ぅ、・・・・・ぁ・・・・・ッ」 薬を飲ませるという口実で接吻できるっていうのが二つ目の理由。 「・・・ン・・・・・ッ」 政宗が一生懸命俺を引き離そうとするけど、病人に負けるほど弱く抱きしめているわけじゃない。 かなり愉しませてもらった後、ようやく政宗を離した。 「・・・・・はぁッ、・・・はぁっ・・・・・、なに・・・しやがる・・・・・ッ」 「え、薬の口移し?」 「ちげぇだろ・・・アンタが舌を入れて・・・・・ッ」 「何のこと?」 「と、恍けんのかよ・・・・・」 「さぁてねぇー・・・?」 「――ッ!もういい、寝っからなッ」 「はいはいお休みー」 真っ赤になった政宗を再び抱きしめた後、ソロリと手を離した。 もう・・・・・本当どうしてくれんだか。 俺様、あんたにベタ惚れだよ、政宗・・・・・ 政宗が眠ったあと、火をおとし、受け皿を元に戻し、一切の音を立てずに天守を出る。 そのとき・・・・・ 「・・・っくしッ」 あれ?俺・・・花粉症持ってないはずだけどな・・・・・ 翌日。 「・・・さ、佐助・・・?」 「ごめんねー旦那ぁ・・・・・俺様、どっかから風邪貰ってきちゃったみたい・・・・・ハクションッ」 どっかじゃなくて・・・・・ホントは、何処から貰ったかなんて分かってるんだけど。 (それでも君が元気なら俺は嬉しい。) ☆:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:*:;;::;;:☆ ・・・病気ネタ・・・また書いてみたいw(( [*前へ][次へ#] [戻る] |