Short
余。(佐助×政宗)★
久々の純粋な死ネタ。←
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「俺様、もう長くないんだ」
「・・・は?」
にへら、といつものようなシニカルな笑みに不釣合いな発言。
思わず聞き返す。
「長くない、・・・って?」
「そのままの意味。もうすぐしぬんだよ」
「・・・なん、で、」
手に持っていた盃を落とす。
ぱりん、と音がして割れた。
「間違えて毒飲んじゃってさ・・・その症状が今の俺様に出てるだけ」
忍の癖に毒も見抜けないなんて馬鹿だよね、と云う。
「そ、それ、・・・真田とか武田のおっさんには、」
「云ってないよ。心配掛けるだけだもの」
「・・・・・」
「でも、政宗だけには知っておいて欲しかった。それだけ」
なんで。
何でそんな大事なことを敵方の俺に教えるんだよ。
「・・・重過ぎる」
「そんなの重々承知だよ。これが軽いとか云ってたらそれこそ神経可笑しいと疑うけどね」
そう云いながら、佐助は割れた破片を片付け始める。
俺は只、それを呆然と見やった。
「で、多分あと半年ぐらいじゃないかな」
「Ha・・・ご苦労なことだ」
仮面に仮面を重ねて、余裕の表情で佐助に笑った。
・・・俺を嗤ったの間違い?
「ホントにそう思ってるわけ?」
「まぁな」
「本心云ってよ」
「本心云ってるだろ」
「冗談は顔だけにしてよね。内心はもう倒れそうなぐらいの“しょっく”を受けてる癖に」
「・・・・・」
思わず黙り込む。
「隠さないで」
「隠してねぇよ」
「じゃぁ何で泣いてるわけ?」
淡々と指摘する佐助。
理由なんかどうせ解ってるくせに。
「・・・知らねぇよ」
「強情っ張り」
「んな訳、・・・」
「あるでしょ。こんなに震えてる」
そっとひんやりとした手が俺の手を包むように触れる。
そこで初めて、自分が“恐怖”に陥ってるのを自覚した。
佐助に触れられてるから?
敵国の忍の余命を知ったから?
・・・違う。
佐助がいなくなるのが怖いんだ・・・
「・・・・・」
きゅ、と佐助の服の袖を掴む。
「なぁに、政宗」
彼はいつものように微笑んでくれる。
「・・・解ってるくせに、そういうこと・・・云うな」
「何処までも意地を張る政宗は嫌いじゃないよ」
「馬鹿猿・・・ッ」
「あはー、そうかもね?」
ニコニコと嘘っぽい笑みはいつもの佐助で。
とてもしにそうな人の顔じゃなくて。
「・・・半年の猶予の間、」
「何々?」
「・・・・・俺と一緒にいろ」
そう云うと、佐助は苦笑いをしながら云う。
「出来る限り・・・ね?」
その言葉の真意は、今は解らない。
☆
それから数日のちのことだった。
「政宗様・・・」
「何だ、小十郎」
「真田が来ていますが・・・」
「Un?真田が・・・?」
ふと、嫌な予感が脳裏を過ぎる。
まさか。
まさか、そんなことは、・・・・・・。
客間に行くと、真剣な面持ちの真田がいた。
「突然来るとは・・・何の用だ?」
「此度は某のことではなく・・・」
佐助のことでござる、と云った。
最悪のVisionが勝手に脳内で再生される。
「・・・佐助が、」
嘘だ。
「某の不注意の所為で・・・」
そんな訳ない。
「某を守って・・・」
半年は生きれるって云っただろ。
「・・・一昨日の朝、」
Jokeだって云ってくれ。
「・・・・・亡くなったでござる」
坦々と告げる真田。まるで感情が無い無機質のように。
「それ、面白ぇJokeだな・・・」
あはは、と笑う。
少しも笑えてないのに。
無理をして、笑う。
頭では解ってるんだ。もう佐助がいないってことぐらい。
「冗談では、」
「・・・解ってる。Thanks・・・真田」
その後のことは覚えてない。
ただ、気付いたら部屋で寝ていた。
それだけ。
もう会えない。
もう触れれない。
「最後に、挨拶ぐらいしてけよな・・・」
そうやって、軽口叩いても、誰も答えてくれないんだ。
(失ってから知る、アイツの存在の大きさ)。
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切ない系ってやっぱりいいと思う。
・・・上手く書けないのが残念。
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