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リボツナ
A Lonely Death




一発の銃声で、

恐ろしいほどに、

俺のすべてが狂った。




【A Lonely Death】




そこは想像できない程に酷い景色が広がっていた。

真っ赤で、ドス黒くて、光の無い戦場。

恨めしい敵の死体と、
その死体に亡き者にされた仲間の死体が、転がっていて。


その中で、漆黒と純白の対象的な二人の姿が、また酷く美しく目立っていた。



「どれだけ殺せば終わるんだ。」

「こっちが聞きたいよ。」



撃っても撃っても敵は減らない。
さすがに二人ではとてもかなわなかった。



・・・最初は二人じゃなかった、のに。



それでも、銃弾が尽きない限り、撃って、うって、撃って。

殺して、ころして、殺して。


疲れが溜まって一瞬、瞳をふせた。


それだけだ、それだけなのに。




0.1秒の油断が、命取りになった。




俺の心臓に向けられたピストル。

俺としたことが。あいつを一人にして逝くなんて、




そう思った時、一発の銃声が響いた。








全身に激痛が走る、はずだった。

でも、血が滲む感覚も、痛みも何も感じない。

何故だ、という疑問は、すぐに消え去った。 



「・・・ツナ?」


だって


「そんな・・・」



俺にとって最愛の純白の彼が、
真紅に染まって、目の前に倒れていたから。  


俺は無意識に、銃を乱射した。

嘘だ、有り得ない、そう叫びながら。 


すると目の前の敵は意図も簡単に、
今までの抗争は何だったんだと言いたくなるくらいに、
全て血を流し崩れさっていた。

俺は銃を投げ捨てて、
純白のスーツを真っ赤に染めた彼の前にしゃがみ込んだ。


とても、立っていられない。


「何で、お前が、」

「リ・・・ボーン・・・」

「!!?」


血塗れのツナが、口を開いた。

今までのお前はどこに、そう言いたくなるぐらい、弱々しく。



「ツナ・・・!?」


まだ微かに呼吸をしていた。

強く抱き締めてやりたかったけれど、それはとても出来ない位に
彼は真っ赤な血を流していて。


「ごめ・・・んね。」

「・・・!?」  


突然囁かれた謝罪の言葉。
何故謝られたのか、全く分からなかった。


「リボーンに銃が向けられたと同時に飛び出してた・・・。そしたら見事に俺に命中。」

「何でそんな事!」

「俺・・・お前にだけは生きてて欲しく・・・て。」


どんどん弱々しくなっていく声。
そして呟かれる言葉。



俺だけには生きていて欲しい、と。



聞いているだけでも辛くなってきた。


「お前が死んでどうする気だ。ただでさえボンゴレは壊滅状態なのに。ドンのお前が死んでどうする!?」


違うんだツナ、俺が言いたいのはこんな事じゃないのに。


「ごめんね、本当に・・・」


駄目だ、もうこんなツナ見ていられない。


「もう喋るな、謝るな。」

「だっ・・・てリボーンを一人にして逝くなんてできな・・・ゲホッ」


ツナの口から吐き出されたドス黒い液体。

もう見たくない、血、なんて。



「この・・・ダメツナ。」

「懐かしいな・・・その言葉。」


昔はこれを言うといつもブツブツ言っていたくせに。


「もっと・・・一緒に居たかったな。」

「俺を・・・置いて逝くのか??」

「大丈・・・夫。リボーンは俺がいなくたって、生きていけるよ。」


やっぱりダメツナ野郎だ、こいつは。
俺が何の為に生きていたかなんて、全然分かってない。


「そんなわけないだ・・・ろ。」

「ゴメン・・・。
でも・・・リボーンの為に死ねるなら、本望かな・・・。」

「・・・ツナ!?ツナ、ツナ!!」


俺は必死になって名前を何回も呼んで、

冷たくなった体を抱き寄せて。




でも返事は返ってこなかった。







純白の彼が、真紅の亡骸になった。

それは俺の所為。

俺がこの亡骸を、作った。

俺の為に死ねるなら本望だ、なんて。

何でそんなに残酷な言葉が言えるんだ。

お前が死んだら意味は無いのに。




孤独は嫌いじゃなかったはず。

ツナに会うまではそうだったから。

でも、孤独はこの世で一番恐ろしい物なのだと。
それを教えてくれたのも、紛れもないこの亡骸で。



俺はこの時、初めて【涙】というものを流した。



血なんてものより、とても綺麗だった。



俺は血に染まった世界にひとりぼっち。







そして俺はまた、孤独になった。

この世で一番、恐ろしい物に。



    






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ツナはリボーンの為に死ねるなら本望なんだけど、

本当は一緒に息を引き取りたかったんじゃないかなと思います。




  

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あきゅろす。
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