昼休み。会長に許可を貰って緊急会議を開いている最中である。因みに腐男子は欠席。俺の趣味が待っているとかほざいていたっけ。 「ーと言うことで、お試し期間で夕餉のお食事をお許しになりました。そこで、幾つかの少人数グループをつくって貰い、お試し期間の5日間、会長とディナーを過ごす代表グループを決めたいと思います。」 "会長とディナーが出来る"その内容に親衛隊の皆は喜びの声で賑わう。 「では、5〜6人のグループに別れてください。別れたら代表者一名は私の元へ来てください。」 合図と共にグループが次々と出来上がっていく。 やっぱり会長の親衛隊だけあって、気迫と言うか迫力がえげつない。まるでバーゲンでブランド物を狙う奥様方のような…… 「集まったようですね。では、私にジャンケンで勝った五名は代表者になります。準備は良いですか?」 辺りがシンとする。自分まで緊張が走る。 「ジャンケンーー」 20分経った処でようやく代表者五名が決まった。勝った者は歓喜の声で騒ぎ、負けた者は落胆していた。 「勝った皆さんおめでとうございます。放課後、順番を決めたいと思うので、また此処に集まってください。負けた皆さん残念でした…けれど、これで終わりではありません。もし、正式に許可がでたらチャンスはあります。」 落胆していた子達は「そうですね!」と言って、勝った五組のグループに僕たちの為に頑張ってよとエールを送る。 しばらくワイワイした後、各自教室へと戻って行く。 良かった。皆、喜んでくれて。 「た、隊長!!」 残っていた親衛隊の子達に呼び止められ、脚を止める。 「素敵な提案、ありがとうございました!隊長、会長補佐頑張ってください。」 ペコっと頭を下げて走り去って行った。 感謝されるってなんか嬉しいな… つい顔がほころんでしまう。 そう言えば沖名君も来なかったな。どうしたんだろ?具合でも悪かったのかな。 いつも一緒に帰ってたからなんだか寂しいな。 いやいや、そんなことを思っている場合じゃない。戻ったら変態トリオに絡まれるんだ。気を引き締めないと。 戻るとやはり変態に絡まれた。 書記の三鷹さんはいないみたいだが、会計のチャラ男とモッサリはちゃっかりいる。 「ちー君はどんな子がタイプ〜?」 「あ、それ俺も気になる!どんな奴だ!?」 敷いて言うならお前らみたいな奴以外で。 「やっぱり会長ぉ?」 親衛隊隊長だからって会長が好きと勘違いすんなよ。 「違うって!大雅には憧れを持ってるだけだろ。千裕は俺が好きだって!!」 誰もそんなことは一言も言っていませんが? 「えぇ〜どうしてそうなるのぉ。そこは僕じゃない?」 んなわけねーわ! おめぇもモッサリと同じこと言いやがって。 つか、勝手に話を盛ってんじゃねぇ!! 「勘違いしている処すみませんが、どっちもないですから。」 「皆さんお茶をいれましたよ。」 副会長が淹れたての紅茶を目の前に置いて行くが、俺のだけやたら色が濃い。 「皆さんの好みに合わせて淹れましたので、味わって飲んでくださいね。」 つまり、残すなと。 副会長が怖いので一口飲んでみる。 「ーーー!!?」 こ、濃いし、何か辛いっ!? ナニコレ辛い紅茶ってあったっけ? 「どうかしましたか?親衛隊隊長。」 にやっとしている副会長が恨めしい。 あやつ、何か仕込んだなコレ。 紅茶が辛い何て可笑しいもん、絶対!! 「んーっ、聖の淹れる紅茶は美味いなぁ!」 「だって、ひっ君の得意分野だからねぇー」 くっそぉー他の奴らは普通に美味しそうな紅茶飲みやがって。ううっ、辛さが染みる…… 「わっ、千裕。泣くほど美味いのかっ?!」 馬鹿野郎、色見てわかんねぇーのか? 辛いんだよ。辛くて涙がでてんのっ! 「そんなに美味しいのですか。仕方ないですね、おかわりどうぞ。」 俺からカップを奪い取り、紅茶を注ぎ入れる副会長。マジで鬼だよあんた。 「さぁ、召し上がれ。」 俺が苦しんでいるのを見て、さぞかし楽しいでしょうね。こっちの気も知らずに。しかも、初めのより色が更に濃くなってるんですけど! 覚悟を決めて一気に飲む。 「ーーーー!!」 辛いを通り越して痛いっ! 喉が焼ける程痛い感じがする。 「聖、程々にしてやれ。」 会長はスッと俺の前に水を渡し、そのまま何処かに行ってしまった。 「あー!!ひっ君、またハバネロ入り紅茶淹れちゃったの?きっちくぅ〜」 「大雅と親衛隊に少々…」 「聖、人の嫌がることはやっちゃいけないんだぞ!!」 「本当だぁ。かいちょーのはちー君のより色がえげつないねぇ〜」 ほらっと見せるカップのそこはただ赤い液体だった。 「ちー君より辛いの飲んでた筈なのにお水あげちゃうなんて……ねぇ〜」 チャラ男の言葉にピクリと反応する。 何で会長は俺に水をくれたんだろう? それが不思議で仕方がなかった。 ≪backnext≫ |