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マスターと別れ、朔君に手を引かれながら近くのショッピングモールや商店街、ゲームセンター等周りいつの間にか夕方。俺たちはある公園のジャングルジムのてっぺんに座り、夕陽を眺める。

「ねぇ、悠斗。覚えてる?此処でよく遊んだ男の子のこと。」
夕陽をバックに切なく微笑む朔君を見ていると、昔の思い出が脳裏に蘇る。

あの子は学校の人気者で、クラスで一番暗かった俺は彼とは何も接点はなかった。
「あの日、悠斗はこのジャングルジムに登って空にかかった虹を見ていたんだ。」
学校帰りに綺麗な虹を見つけて、もっと近くで見たいと思った俺は、ジャングルジムに登って虹を眺めているところに彼がやって来た。
「それがきっかけで俺と悠斗はよくこの公園で遊ぶようになった。」
あの虹を見た後に人気者の彼が俺によく声をかけてくれて、次第に仲良くなってこの公園で遊んだ。
「もう、思い出したでしょ?悠ちゃん。」
人気者だった彼と朔君がフラッシュバックする。
「……も、もしかして、さーちゃん?」
そう名を呼んだ時、急に抱きしめられる。
「朔って名前にさーちゃんって呼び方すんの悠ちゃんしかいないよ?」
そんなこと言われてもだな、あの時、周りと違う呼び方をして欲しいって言ったから仕方なく「さーちゃん」って呼んだだけなのに。
「けど、悠ちゃんに言われるのは悪くない。ね、もっかいいって?」
「さーちゃん。」
「ようやく会えた。」
もう一度抱きしめられ此方も抱きしめ返すと、さらに強く抱きしめられ苦しくなる。
「もう、悠ちゃんのこと離さないから。」
だから…と言おうとしたところに後ろから明るい声がとんでくる。

「お取込み中のところごっめんねぇー☆」
振り返るとこの前生徒会室で見かけた人だった。

「お前、なんでここにいる…」
後ろの人物の顔を見るなり険悪な顔つきで睨みつける朔君。

「何でーって言われたら、君が学園に突然現れたこととかー、なぁーんでこの子に構ってるのかなぁー?って思ってるのとぉー…敵対するチームの総長だからじゃなぁい?」

いったいどうなってるんだ?

「2人探してる間、結構な人数に絡まられちゃってチョー大変だったけど、見つかってよかったよ。」
よっ、と言ってジャングルジムから飛び降り、携帯を取り出し誰かと連絡を取っている。隣に居る朔君はやたら周りを注意深く見て、俺の肩を強く抱く。

「悠斗、これから面倒な事が起こりそうだから俺から離れないで。」

何だかよくわからないが、確かにジャングルジムの周りにはイカツイ連中が集まり始めている。

「コッチの総長が来るまでちょーっと待っててねぇ。その間に逃げちゃおうって考えは…」
「ピーッピッピー」
服の下に隠してあった笛を取り出し、鳴らし始める朔君。それを聞いた生徒会で見かけた人とイカツイ連中はジャングルジムを背に警戒態勢に入る。

笛が鳴ってから数十秒の間にまた新たなイカツイ連中が先程より多く集まってくる。

「ちょっと、それ反則じゃなぁい?」
「てめぇが俺の邪魔をするからだろう。お前ら、後は任せた。」
そう言って朔君は俺を抱きかかえジャングルジムから飛び降り、イカツイ連中が集まる公園から脱出した。


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あきゅろす。
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