あれから数時間がたった。 「やっぱ、かいちょーひっ君の紅茶で体調崩したんじゃない?」 いつまでたっても戻ってこない会長を心配して、チャラ男が副会長にそう告げる。 「……保健室に行って来ます。」 副会長もチャラ男の同じ事を思ったのか、様子を見に扉を開けようとするが、急に扉が開いた為、バランスを崩し、開けた人物とぶつかった。 「ああ、聖すまない。何処かへ出掛けるのか?」 副会長は目の前の人物に驚いて言葉が出ない。 だって、ここを出る前はオールバックで髪が長かった会長が、短髪になっている。 ………どうしたらこうなった。 「か、かいちょー……どうしちゃったの?」 最初に沈黙を破ったのはチャラ男だった。 「ああ、あの後へんた…風紀に捕まって髪型の事を指摘されたから、切りに行っていた。」 「ふ、風紀ってあの鬼の旭さんがいる………」 「ああ、クズの旭 宗弥がいる風紀だ。」 チャラ男は"鬼"って言っていたことに対して、会長は"クズ"と言い換える。 「かいちょーって風紀いいんちょーだけは酷い扱いするよねぇ〜僕なんか鬼の顔で"風紀乱すなっ!"って言われるから怖いんだよねぇ〜」 「お…れも、しごと…しろ、いわれ…た。」 「私も授業中、矢那と2人で過ごしていると"生徒会がしっかりしてくれないと、仕事が増えて大変困っている"とかなんとか言われましたね。あの時の顔は人じゃなかったです。」 「あれは怖かったなっ!俺もビビったもんっ!」 俺なんかレイプされかけたし……… あの時の事が頭に過って両手で肩をだく。 そんな俺の様子を見て会長がぽんと頭を撫でてくれる。 「そう言えば、かいちょーとちー君って最近仲良いよねぇ。」 「そうか?」 「…うん、チョット羨ましい……なーんちゃって♪あ、話し戻すけどどうして切っちゃったのぉ?」 「丁度切りたいと思っていたからな。」 「そっかぁ〜、あ、でもかいちょーあんまり外で歩かない方がいいよぉ。」 「は?何故だ?」 「だって……ねぇ?」 チャラ男はそう言って副会長と書記にアイコンタクトをとる。 「そ、そうですよっ!今の貴方が外を歩けば、事情の知らない飢えている変態共が寄って来て迷惑になります。私が放送で全校生徒に伝えますから、貴方は放送が終わるまでここでジッとしていてくださいっ!」 副会長はそう言うと俺の隣のソファーに無理やり会長を座らせ、放送室へ向かうべく猛ダッシュして行った。 「何故、あんなに聖は慌てているんだ?」 いや、俺に聞かないでくださいよ。 「そりゃあ、慌てるよぉ!髪切って妙なフェロモンバンバン振りまいてる会長を外に出したら、血の海…又はかいちょーを掘ってやろうとする輩がいっぱい来ちゃうんだから!?」 チャラ男が慌てたように会長に言うが、納得がいかないのか眉をしかめている。 「意味が分からん。」 「もぅっ!やなやなとみっちゃんもなんか言ってやって!」 チャラ男はぷぅと頬を膨らませことの重大さを書記と転入生に言うように促す。 「会長…尻、あぶ……な、い」 「髪を切った大雅も千裕と同じで、美味そうだよな!喘いだ時の表情とか想像しただけで、ヤバイ!」 モッサリすこし黙ろうか。 「……何となく理解はした。が、何故お前等いように近いんだ?」 会長の言葉に周りをみて見ると、俺と会長は変態トリオに囲まれている。 「いや、だって……こんな会長とかレアじゃん?」 「大雅と千裕の3Pも良いな……」 「も…だえ、る…ふ、たり…みた、い……!!」 おかしな事を言って来る変態トリオ。 身の危険を感じ、会長と俺は身を寄せながら防御体制へ。するとそこにタイミング良く副会長の放送が入る。 ピンポンパンポン 「全校生徒に生徒会からのお知らせ…いや、注意があります。先程、我ら生徒会長五十里大雅が、風紀委員から注意を受け髪を短くし、異様なフェロモンを振りまいています。そのフェロモンにやられて襲おうなどの行為をした場合、厳しい処罰を下しますのでご注意を。例えそれが生徒会、又は風紀も対象になりますので。繰り返します……」 副会長の言葉に固まる変態トリオ。 「き、厳しい処罰ってなんだ?!なぁ、悟!!」 「わ、わかんないけどぉ…多分、ひっ君の下僕とか…かなぁ?」 「ほ、んき…だっ、た。」 よくわからんが、副会長の厳しい処罰ってワードが効いているみたいだ。 「もしかしたら、辛い紅茶一年付きかもな。」 会長がそう変態共に付け加えるとモッサリ以外は顔が真っ青になる。 「高梨、変態共は放って仕事する。念の為、キッチンにある塩をあいつ等に撒いとけ。」 「わかりました。」 会長の指示通り塩が無くなるまで変態共に掛け続けた。 ≪backnext≫ |