第一章 09 裏の支配者 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 久しぶりに一人で授業を受けた。 先生も慎吾さんが居なくて吃驚していたけど、いつもよりやり易そうに授業を進めていた。 慎吾さんがいたら色んなこと指摘しちゃうから、先生も進めようにも進めらるなさそうにしてたなぁ。 いつもより進んだところでチャイムがなり、一気に教室が騒がしくなる。それもそのはずで、俺は騒がせている人物の方を見ると、あっちも気づいたようでこちらに向かって来る。 「敦、俺が居ないと授業受ける意味ないだろ?」 いや、何言っちゃってるのこの人とツッコミたいところだが、我慢する。 「何を言っているの。慎吾は間中君の勉学の邪魔してるんでしょう?」 「してねぇーよ!」 来るなり口喧嘩が始まりました。 そんな2人を止める事はできず、ただ見ているしかなかった。 「間中君が可愛くて好きでたまらないのは仕方がないけれど、授業中まで構っていたらまた、面倒な奴が来てしまうでしょう?それを一々フォローする私の身にもなってください。」 面倒な奴って人は分からないけど、弧篷先輩まで迷惑かけていたなんて知らなかったから、凄く罪悪感をもった。 「すいません、弧篷先輩。俺がいけないのに…」 「間中君が謝ることじゃないよ。そんな顔しないで、悪いのは慎吾だから。さ、次の授業始まっちゃうから帰るよ。」 「あ、泰都、離せこのヤロー!!」 昼休みと同じ光景で再び2人を見送るとクラスメイトが何かをつぶやいていた。 「あ、あれが裏の支配者…弧篷先輩。」 裏の支配者…? あんなに優しくて良い先輩が?? 訳が分からなくて咄嗟にそのクラスメイトに聞いてみる事にした。 「あの、裏の支配者…って?」 そうしたら目を見開いて、信じられないと言いたげな表情で此方を見る。 「知らずに今まで接して来たのかよ…いいかよく聞けよ。あの人はなBIG3も恐れる存在、裏で学園を支配するとんでもないお方なんだよっ!」 裏で学園を支配……? 「あー!!だから、いつもは口出しはしてこないんだけど、あの人が気に食わない事を誰かがやってしまったら、そいつの人生は終わったのも同然。例えそれが地位の高いBIG3だとしても!」 「こーら、何騒いでんだ?席につけー」 先生が来ていたみたいで、席に座りさっき聞いた言葉が脳内で繰り返されるのだった。 ーーーーーーー 「なぁ、泰都。」 「どうしたの?」 「お前さ、結構敦のこと気に入ってるだろ?」 「どうして?」 「他人に余り興味のないお前が、生徒会役員がいる所に自ら行かないだろう?」 「ふふっ、何言っているの?彼を助けたのは慎吾の好きな子だからに決まっているじゃないか。」 「………そうか。」 「そうだよ。さぁ、早く戻ろう。」 慎吾は不服を感じながらも、幼馴染のその言葉を信じるしかなかった。 ≪backnext≫ |