第一章 08 チャラ男と副会長と風紀委員長 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「盛るなら別の部屋でして頂けませんか?佐倉君。」 近づくチャラ男の背後に黒いオーラをまとった美少年が、此方を睨んでいる。 「ちぇー、副会長いたんだぁ。」 「居ましたが、何か文句でも?」 顔は笑っているのに、目は笑っていないんだけどっ! 「ところで、そちらは噂の彼では?」 「あ、そうそう!慎ちゃん追いかけているところを拉致っちゃった☆テヘッ」 何が☆テヘッだ。 いくらチャラくてイケてても、可愛いは別物なんだからなっ! 「はぁ、後が恐いので元に戻してきてください。」 なんで、俺、拾われた仔犬扱いされてんの?! 「えぇ、ヤダ。」 「ダメです、戻して来なさい。」 「どうしても?」 「どうしてでもです。」 何この会話。そして、俺を仔犬扱いすることをやめれ。 2人が親子みたいな会話を無限に続けていると、扉を開けにこやかに入ってくる弧篷先輩が現れた。 「失礼するよ。あ、やっぱりここに居た。」 「こ、弧篷……何故、貴方がここに?」 弧篷先輩の出然によりチャラ男と副会長の顔つきが変わる。 「僕が来ちゃなにか不都合かな?副会長さ、ま。」 「い、いえ。た、只、珍しいと思いまして……」 「ふぅーん。あ、佐倉君。」 「は、はいっ!」 「敦君をここ連れてくる時は言ってね?慎吾がブチ切れてしまうから。」 「分かった……」 終始笑顔の弧篷先輩とは逆に怯えた表情の副会長とチャラ男。 「じゃあ、間中君行こうか。慎吾が"後ろに居たはずの敦君がいない!"って騒いでいますから。」 そういう先輩に背中を押され、教室をでる。 「あ、ありがとうございました。」 「いえ。間中君もあんなクズの集まりに触れては、汚されてしまうので気をつけてくださいね。」 笑顔は爽やかなのに言っている事が酷い。 教室をでて暫く歩いていると、仏頂面で廊下に座る慎吾さんがいた。 「泰都にしては遅かったな。」 「ああ、ちょっと厄介な奴が二匹いたもので。」 「副会長と佐倉か。確かに厄介な奴に捕まったな敦。」 「あと、あそこにも厄介のがいますね。」 そう言って慎吾さんと弧篷先輩の目線の先には、左腕に"風紀"と書かれた腕章をつけて此方目掛けて歩いてくる人物がいた。 「よぉ、賀来に弧篷。学園の風紀を乱してんのはお前らじゃねぇーだろうな?」 「乱してんのは生徒会に決まってんだろ?風紀委員長さんよ。」 「まぁな、あいつらの親衛隊には毎日乱されっぱなしだ。」 ふと視線をコッチに向けられる。 「ほぉー、こいつが例の噂の奴か。始めまして、風紀委員長を務める荒牧 将生だ。くれぐれも問題ごとを起こさないでくれよ。」 「大丈夫ですよ、生徒会みたいに馬鹿な子じゃないですから。」 「だろうな。あいつらより馬鹿な奴居たら一度見てみたいな。…おっと、それじゃあ失礼する。」 お辞儀をして風紀委員長さんを見送る。 「敦、彼奴にあっても挨拶以外の言葉交わすなよ。」 どういう意味なのだろうか? 「ふふ、彼は慎吾と少し似ているからね。間中君が取られるって心配しているんだよ。」 取られるって… 俺はオモチャですか。 「さぁ、昼休みも終わる事ですし戻りましょうか。間中君は慎吾の言いつけは気にせず、自分の勉学に励んで下さい。」 「あ?!泰都てめぇ、って、その手を離せよ!」 「慎吾、勉学の時ぐらい自由にさせてあげないと嫌われますよ。」 「…………分かった。だが、10分休憩の時に行くからな、敦!」 「はい。」 弧篷先輩に引きずられながら必死に言う慎吾さんは何だか面白かった。 ≪backnext≫ |