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親衛隊隊長の苦難19





昼休み。会長に許可を貰って緊急会議を開いている最中である。因みに腐男子は欠席。俺の趣味が待っているとかほざいていたっけ。

「ーと言うことで、お試し期間で夕餉のお食事をお許しになりました。そこで、幾つかの少人数グループをつくって貰い、お試し期間の5日間、会長とディナーを過ごす代表グループを決めたいと思います。」

"会長とディナーが出来る"その内容に親衛隊の皆は喜びの声で賑わう。

「では、5〜6人のグループに別れてください。別れたら代表者一名は私の元へ来てください。」

合図と共にグループが次々と出来上がっていく。
やっぱり会長の親衛隊だけあって、気迫と言うか迫力がえげつない。まるでバーゲンでブランド物を狙う奥様方のような……

「集まったようですね。では、私にジャンケンで勝った五名は代表者になります。準備は良いですか?」

辺りがシンとする。自分まで緊張が走る。
「ジャンケンーー」




20分経った処でようやく代表者五名が決まった。勝った者は歓喜の声で騒ぎ、負けた者は落胆していた。

「勝った皆さんおめでとうございます。放課後、順番を決めたいと思うので、また此処に集まってください。負けた皆さん残念でした…けれど、これで終わりではありません。もし、正式に許可がでたらチャンスはあります。」

落胆していた子達は「そうですね!」と言って、勝った五組のグループに僕たちの為に頑張ってよとエールを送る。

しばらくワイワイした後、各自教室へと戻って行く。

良かった。皆、喜んでくれて。

「た、隊長!!」

残っていた親衛隊の子達に呼び止められ、脚を止める。

「素敵な提案、ありがとうございました!隊長、会長補佐頑張ってください。」

ペコっと頭を下げて走り去って行った。

感謝されるってなんか嬉しいな…
つい顔がほころんでしまう。

そう言えば沖名君も来なかったな。どうしたんだろ?具合でも悪かったのかな。
いつも一緒に帰ってたからなんだか寂しいな。
いやいや、そんなことを思っている場合じゃない。戻ったら変態トリオに絡まれるんだ。気を引き締めないと。







戻るとやはり変態に絡まれた。
書記の三鷹さんはいないみたいだが、会計のチャラ男とモッサリはちゃっかりいる。


「ちー君はどんな子がタイプ〜?」

「あ、それ俺も気になる!どんな奴だ!?」

敷いて言うならお前らみたいな奴以外で。

「やっぱり会長ぉ?」

親衛隊隊長だからって会長が好きと勘違いすんなよ。

「違うって!大雅には憧れを持ってるだけだろ。千裕は俺が好きだって!!」

誰もそんなことは一言も言っていませんが?

「えぇ〜どうしてそうなるのぉ。そこは僕じゃない?」

んなわけねーわ!
おめぇもモッサリと同じこと言いやがって。
つか、勝手に話を盛ってんじゃねぇ!!


「勘違いしている処すみませんが、どっちもないですから。」


「皆さんお茶をいれましたよ。」

副会長が淹れたての紅茶を目の前に置いて行くが、俺のだけやたら色が濃い。

「皆さんの好みに合わせて淹れましたので、味わって飲んでくださいね。」

つまり、残すなと。
副会長が怖いので一口飲んでみる。

「ーーー!!?」
こ、濃いし、何か辛いっ!?
ナニコレ辛い紅茶ってあったっけ?

「どうかしましたか?親衛隊隊長。」

にやっとしている副会長が恨めしい。
あやつ、何か仕込んだなコレ。
紅茶が辛い何て可笑しいもん、絶対!!

「んーっ、聖の淹れる紅茶は美味いなぁ!」

「だって、ひっ君の得意分野だからねぇー」

くっそぉー他の奴らは普通に美味しそうな紅茶飲みやがって。ううっ、辛さが染みる……

「わっ、千裕。泣くほど美味いのかっ?!」

馬鹿野郎、色見てわかんねぇーのか?
辛いんだよ。辛くて涙がでてんのっ!

「そんなに美味しいのですか。仕方ないですね、おかわりどうぞ。」

俺からカップを奪い取り、紅茶を注ぎ入れる副会長。マジで鬼だよあんた。

「さぁ、召し上がれ。」

俺が苦しんでいるのを見て、さぞかし楽しいでしょうね。こっちの気も知らずに。しかも、初めのより色が更に濃くなってるんですけど!

覚悟を決めて一気に飲む。

「ーーーー!!」

辛いを通り越して痛いっ!
喉が焼ける程痛い感じがする。

「聖、程々にしてやれ。」
会長はスッと俺の前に水を渡し、そのまま何処かに行ってしまった。


「あー!!ひっ君、またハバネロ入り紅茶淹れちゃったの?きっちくぅ〜」

「大雅と親衛隊に少々…」

「聖、人の嫌がることはやっちゃいけないんだぞ!!」

「本当だぁ。かいちょーのはちー君のより色がえげつないねぇ〜」

ほらっと見せるカップのそこはただ赤い液体だった。

「ちー君より辛いの飲んでた筈なのにお水あげちゃうなんて……ねぇ〜」

チャラ男の言葉にピクリと反応する。
何で会長は俺に水をくれたんだろう?


それが不思議で仕方がなかった。





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あきゅろす。
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