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親衛隊隊長の苦難18






会長に抱えられ会長の部屋へくるのは二回目。
しかも二回目は服をまともに着れてないってゆー。って言うかこうなったのも会長が風紀委員長を放置するからじゃね?いや、過去の事を言っても仕方が無い。

「とりあえず風呂入れ。」

そう言って浴室に俺を降ろす。
そのまま会長は出て行く。

何か会長の部屋来たら直ぐ風呂に入ってる気がする。そう思いながらもはだけた服を脱いで、シャワーを浴びる。

会長はあの時"大切なもの"って言っていた。
あれはどう言うことだったのだろうか?
風紀委員長が言っていた"修介"って真智のことなのかな?

そう考えながらシャワーから出て、汚れた服の代わりにおいてあったバスローブを見にまとう。

「お風呂ありがとう御座います。」
ソファーで読書していた会長に声をかける。
本から目を離し、此方を向いて驚く。

「お前、ちゃんとタオルで拭いたか?」

「いえ…」

はぁ、とため息を着いて「そこに座っていろと」ベットを指差し、浴室からタオルをとって俺の髪をガシガシと拭く。

「か、会長っ!」
突然の会長の行動に戸惑いが隠せない。

「じっとしてろ。ったく、風引いたらどうすんだよ。」


不意に沖名君の言葉を思い出した。
"前の会長はお優しくて思いやりがあって、面倒見のいいお方でした。困っている子を見つけたら、手助けしてくれたりして…"

「しっかし、お前らって本当にてるよな。」
優しい表情で言う会長をチラリ見てカァーと顔が熱くなる。何だよ、似てるって誰と誰だよっ!

「失礼します。大雅様、修介様から高梨様のお荷物を預かってまいりました。」

「ご苦労様、ソファーの上に置いてくれ。後、軽い食べ物と飲み物を頼む。」

「かしこまりました。」

丁寧なお辞儀をして部屋を去っていく忍者執事さん。

俺の髪を拭き終えた会長はタオルを綺麗にたたみ、そっと差し出される。

「身体は自分で拭け。着替は用意した物を着るか、自分の服を着るか好きにしろ。」


そう言って着替えを渡される。


「あの、この服って会長のですか?」

「ああ、俺の服じゃなかったら誰のなんだよ。」

デスヨネ。いや、まぁでも会長の服にしては意外にカジュアルなんですね。持っとチャラいの想像してたよ。

折角用意してもらったのと、自分の服を鞄から取り出すのが面倒なので、ご好意に甘え用意された服を着ようとするが…


「だからちゃんと身体を拭いてから着替えろ!」

怒られてしまった。
なんだか会長、世話焼きのお母さんみたい。
俺も母さんがいたらこうだったのかな?

「…………………」

「さっさと拭いて着替えろ。ちょっと早めに勉強するぞ。」

俺の頭をぽんぽんし、部屋を出る。

何だろう?なんか心がポカポカする。

この気持ちに戸惑いながら、濡れている部分をぬぐい服を着る。やはり少し大きい。それにこの匂いなんだか落ち着く。
真智は甘い匂いがするけど、会長はなんて言うか優しい香り?安心するって言ったら良いのかな?

「終わったか?」

タイミングを見計らって部屋に入る会長に少しドキッとする。

「始めようか。苦手な教科とかあるか?」

「……理数系は全てダメです。」

「成る程。」

そのまま何か考え込む会長。

文系もイマイチだけど、理数系に比べたら大分ましだ。第一、普通に授業受けて全てを理解するのは難しいって。公式とか覚えるのだって大変だし。

「そうだな…数学からいくか。今、どこの範囲だ?」

「えっと、今の範囲は確か……」

鞄から勉強道具を取り出し会長にみせる。

「じゃあ、そこからやるか。」

勉強道具を持って書斎にあるテーブルと向き合い、日がくれるまで数字と睨めっこした。









「よし、今日はここまでにしようか。」

問題の答え合わせをし終えた会長の言葉にはぁと溜息が零れる。
会長は先生より教えるのが上手くて、今まで分からなかった問題が一発で解けた。

こんなこと高校入って以来だよ。

「そろそろ夕食時だな。高梨はどうする?」

「どうする?って会長と一緒じゃないんですか?」

「いや、約束があるなら別でも構わないが…」


気を使ってくれるなんていい人だなぁ。
あ、そうだ。親衛隊の子誘って見ようかな?
会長と一緒に食べる機会ってそうそうないし。
そうと決まれば…

「お願いがあるんですけど良いですか?」

「構わない。」

「あの、俺だけ会長のお側にいるのは、他の親衛隊の子も不満に思っているだろうと思いますので、何人か親衛隊の子を誘っても宜しいでしょうか?」

「そうだな…それは明日にしよう。親衛隊はいっぱいいるのだろう?それだったら、幾つかのグループに分けてからにしてはどうだ?」

突然のお願いなのに嫌な顔せず言ってくれる。
しかも、提案までしてくれるし。
今まで毛嫌いしてすみませんでした。

「ああ、そうだ。俺が許可したこと副隊長には言うなよ。」

「分かりました。俺の提案として早速、明日集まって決めようと思います。」

「そうか。」

許可したこと真智に知られたら何かまずいのか?
いや、そのことはそのうち聞けば良いか。

そのまま部屋からでて食堂で夕食を食べに行くが、着くなり変態トリオに捕まった。会長は俺様に戻っていたが、根は良い人だと思うとなんだか可笑しかった。




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