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02





それからというもの、毎日の様に俺様イケメンはやって来て、「あいつを見るとドキドキする」とか「他の奴と話しているところを見るとイライラする」とか。俺は恋の悩み相談相手にさせられている。
それを見ている執事さんは微笑んで、いつもの様にお茶とお菓子を出してくれる。
お菓子を頬張りながら、俺様イケメンの話を聞いてあげる。


「今度、親睦会パーティーのペアに誘うと思うのだが、どう誘えば来てくれると思う?」


えー考えるの面倒くさいなぁ。もう俺様らしく"俺とペアになれ"で良くない?そんなに弱気になる必要ないと思うな。もういっそ、早く結ばれてくれ!
そう思いながらもご丁寧に答えてあげる俺。


「周りくどい事はせず、直球に言えばいいかと。」
お茶をずずっと一口飲む。


「どんな風にだ?」
えー自分で考えなはれよ。んー……俺様だしなぁ


「"俺とペアになるに相応しいのは貴方だけ"とかですかね。」


うん、俺様らしい感じで尚且つ口説いて聞こえるね。俺って素晴らしい←


「成る程、篠原有難うな。また、聞いてくれ!」


そういって戻って行く俺様イケメン。
頑張って恋を成就させてくれ!
残ったお茶とお菓子を食べていると執事さんがやって来る。


「篠原様、有難うございます。」


何故かお礼を言われた。よく分からん!
俺の思った事が分かったのか執事さんは訳を言って来る。


「昶兎様があんなに親しく話せる方は、身内以外にいらっしゃらなかったものですので。」


別に親しくしてはないのですが。そこは誤解しないで頂きたい。ただ、あちらが御勝手に恋の悩み相談をしてきただけなんですが。


「篠原様、これからも昶兎様のお話相手になってくださいませんか?」


優しい表情で言われた。そんな表情をされては断る理由がなく、頷いてしまった。




次の日の昼休み、俺はいつもの様に中庭へ向かおうとしたが、クラスメイトに止められる。


「お前、ここ最近昼も食べないでどこ言ってるのですか?」


何処って言われてもなぁ、言ったら絶対こいつ着いてくるし。逆に言わなくてもしつこく聞いて来る。実に面倒くさい。


「そんなに俺といるのが嫌ですか?」


俺の腕を強く握り、悲しそうな顔して俺に問う。ん?俺、いつ貴方と親しくなったんすか?数回しか話した事ないのに、何でそんな事を聞いて来るのかが分からない。


「え、とお昼休みは約束しているので。すいません。」


そう言って掴まれてない方の手で相手の手の上に優しく重ね、話して欲しいと合図する。相手は顔を赤らめ、渋々離してくれる。

「有難う」と告げて教室を出て中庭へ向かい、ベンチで寝転がる。腕を目元に隠す様にして目を閉じる。心地よい陽気に誘われて意識を落とす。

しばらくすると甘い香りが中をかすめ、唇に柔らかい感触を僅かに感じた。
「………んぅ」と声を漏らすとガタガタと物音がしたので目を開ける。


「あ、すいません。眠ってしまって……今日は上手く言ったんですか?」


眠い目をこすり目の前の俺様イケメンに聞くが、いつもの様な返事が返ってこない。
何だか顔が赤い。
具合悪いのだろうかと手を額に当てると、更に顔を真っ赤にして"うわぁぁ"と叫んで走り去って行く。

一体何だったのだろう?そう思いながら、用意されていたお茶とお菓子を食べた。



そんな出来事があってから俺様イケメンは来なくなった。俺は恋が成就したんだろうと思い、ベンチで昼寝をして過ごした。




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