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初恋の君を思い続けて

俺は小さい頃からずっと、好きな女がいる。



家が近所で、柔道が好きで、家族が大好きで、誰隔てなくコミュニケーション取ったりするけど、鈍感でドジで。
やる気はなかったが、アイツの兄姉と柔道を楽しそうに練習している姿を見て、俺も柔道を始めた。
練習はキツイけど、アイツをみていて飽きないし、自然に笑みが溢れる。
アイツと過ごす日々は楽しくて、これからも変わらずずっと一緒にいると思っていた。


そんなある日、不幸なことに事故で怪我をしてアイツはその怪我を治すためにアイツの親父さんと共にアメリカへ行くことになった。
最初は1年の予定だったのだが、親父さんの仕事の都合もあり、2年、3年経っても帰ってこなかった。


アイツのいない日々はぽっかり穴が空いた様に感じ、一緒にしていた柔道にもあまり身が入らなかった。
ただ、柔道を辞めてしまうとアイツとの繋がりが無くなってしまうのではないかと感じて、何とか続けて全国に名を馳せるまで努力を重ねた。

全国レベルまで強くならないと、アメリカにいるアイツに気づいてもらえないと思ったから。




それからアイツがアメリカへ行ってから4年が経ち、高校生になった。
もう帰ってこないんじゃないかと諦めて、俺はふてくされていた。


柔道の強豪校へ推薦入学したものの、高校卒業したら辞めようと考え始めていた。
日々の練習は日を重ねるごとにキツくなるし、アイツは帰ってこないし。
俺は何のために柔道やってきたんだろうと思うようになった。
そんな俺の態度にキレる先輩もいたが、ふてくされていた俺は気にも留めなかった。
まぁ、俺より実力がなかったってのもあるが…


そんな俺に近所に住む幼馴染が怒った。
「あの子が帰ってきた時、中途半端なことしてんじゃねぇ!!って、怒るよ!だから、ふてくされてないで、ちゃんと真剣にやんな!!今のあんた本当に鬱陶しい。」

流石、俺とアイツの幼馴染で柔道仲間で、尚且つアイツの親友。

怒ストレートにいいやがるが、そのおかげで目が覚め柔道をして楽しかった頃を思い出し、真剣に練習に打ち込み、1年ながらも個人戦の大会に出させてもらえるようになった。
 

県予選を勝ち進み、全国へ。
結果は個人戦5位入賞ではあったが、次は上位3位まで入って、高校卒業したらプロになってアイツに会いに行ってやると意気込み、自主トレに加え、練習に打ち込んだ。


練習に明け暮れていると、1年の学期末に告白されることが増えた。
全ての告白を断っていると周囲の男子や先輩から「何でお前ばっかり告白されるんだよ!」と言われるし、たまに幼馴染から断り方が冷たすぎると怒られるからたまったもんじゃない。

あと、びっくりしたのはアイツの姉に告白されたこと。
たまに近所をジョギングしてるときにあって話す程度だったのだが、まさか告白されるとは思わなかった。
本人曰く、作ったお菓子をうまそうに食べて褒めてくれるのが嬉しかったかららしい。



そして、春休みに入り試合に出るものだけの強化合宿に参加し、最終日は母と妹たちが車に乗って迎えにきた。何やらいつもと様子が違う母と妹達を見て、不審に思った。


これは何か企んでるに違いない。


怪しみながらも、駐車場へ向かうと車のそばに見知らぬ女が立っていた。
まだ寒さが残る春の風が強く吹く中、女はこちらに気づき俺の方へ振り向いた。
こちらを見る女を見て俺はずっと待っていたアイツだと気づいた瞬間、思わず駆け出して抱き締めていた。


「ただいま」


ずっと待っていた言葉。
これからまた、一緒にいられる。
蓋をしていた気持ちが一気に解放されたと共に、これからどう口説いてやろうかと俺が企んでいる事について、帰ってきたばかりのアイツはこれから俺に振り回される事になろうとはこの時はまだ、知る由もなかった。



初恋の君を思い続けて…END




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あとがき
4年目の冬の続きというか、総まとめと言うか。
久しぶりに書いてみました。

設定とかなんせ10年前くらいに考えたもので、柔道の知識がにわか程度にしかないものが、書いてるのでその辺はご了承ください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。



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