E 「俺も詳しくは分からないんだけど規定以外の場所で風俗営業をしていたとか。その摘発があってから芋づる式にいろんな事が出てきて、地下に賭場があったり他に所有ビルではドラッグのパーティに使われていたとか。」 「よくある話だな。」 「そうだね。でね、その他にも違法なAVを扱ってたりして、押収された中に児童ポルノなんかもあったらしいんだ。」 「児童、ポルノ?」 本当によく聞く3面ニュース。 テレビで見たりして胸糞悪くなっても、やはりそれは遠い世界の話で。 でも今は、妙な胸騒ぎに吐き気がした。 「撮影機材とか、何台ものデッキとかビデオとかDVDなんかいろいろ押収されて………その中に」 ダン、思わずテーブルを叩いていた。 和音ははっと息を飲んで、そっと吐き出した。 何かを察したのだろう。 やや俯いて、話す。 「もう、よす? 健人は身内じゃないんだし、そうだね、もう関わらないほうがいいかもしれない。」 「な………」 情けない。 二十歳を超えて、大人ぶっていたけどこんな、話だけでかなり動揺していた。 春生に会えたらまず何をしよう……何をおいても抱きしめてあげたい。 あんなにも考えていたのに何一つ出来なくて頭の中はどんどん混乱していく。 それでも、聞かなくてはならないと思った。 俺たちの犯した罪、被害者の春生の今までを。 「悪い。 大丈夫、話して。 それに俺は身内だと思ってるから。」 「健人には責任ないよ?」 「ある。俺のせいだ、全部。だから話して。」 一つ、息を落として和音は再び口を開く。 どこか安心したように見えるのはきっと気のせいではない。 健人同様、いやそれ以上に不安なのだ、和音も。 健人がいることで少しでも罪の重さを分け合えている、そう思ってしまうのは仕方のないこと。 兄だからといって、決して彼も大人ではない。 「児童ポルノの映像にハルの物がいくつもあったって。 しかも、そこは売春みたいなのもしていて、家出少女とか使ってウリをさせてたんだって。 少女だけじゃなく、少年………もね。」 「ハルも?」 声が震えていた。 「そこまではまだ分からないらしいけど、そういう子たちが集団で生活しているようなマンションで保護されたって話。 だから多分、…………させられていただろうと思う。」 家出した子供が簡単に生活なんてもちろん出来る訳がない。 ましては春生のような、夜の街すら知らないような子が。 言葉巧みに言い寄って、浚ったのだろうか。 それとも春生が付いて行ったのか。 あの日からどれくらい後だったのかは分からない。 心細かったであろう春生にどんな言葉をかけたのか。 「それに、薬も……」 [*前へ][次へ#] [戻る] |