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歪められた眉。
引き締められた口。
震える拳。

前に浮気を見られた時の比ではないほど、露わにされた怒り。

カラカラに口が渇いた。
飲み込もうにも、唾液すら出てこない。

言い訳を頭の中で組み立てているうちにあの子は鞄を投げつけて背を向けた。
珍しく声を荒げて。
言葉を遮ることも出来なかった。


すぐに追いかけられなかったのは全裸だったから、だけではない。

もう修正が利かないくらい何かが砕け散ったように感じたからだ。
体中から力が抜けて、とっくにモノは萎えていた。


いろいろな誤算はあったがそれだけは当たった。

もう、戻れない。
許してはくれないだろう。

でも諦めるつもりはなかった。
諦められるはずがない。
こんなに好きなのに。
やっている事が矛盾してる事は分かってるんだ。
それでも、こんなに愛おしく思うのはたった一人。

生まれて初めて、自分以外を愛した。


土下座しても、縋り付いても………許しを請うつもりだ。

本当にもう、浮気はしない、と。



この溢れんばかりの気持ちを告げよう。


本当のことを告白しよう。

だからカミサマ………。





だけどあの日、どれだけ探しても見つけられなかった。

夜になって自分から帰ってくることもなかった。



世界が静寂に包まれたようだった。

心が何も映さない。


犯してしまった罪の重さを俺たちは、ようやく自覚した。





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