A 言い訳して必死に謝って。 あの子は優しいから泣きじゃくりながらも許してくれた。 初めて交わした口付けはとろけるほど甘美。 想像以上だった。 キスだけで勃起したのは初めてだった。 舌を絡めただけで、唾液を飲んだだけで射精しそうだった。 だから余計……浮気を止められなくなった。 あの子とキスをした次の日は特に。 激しく、求めて、あの子を重ねて欲望を吐き出した。 正直、奴にバレたときはキモが冷えた。 あの子にばれたときより怖かったかもしれない。 血の気が失せる、てまさにああいう状態を言うんだと思う。 あの子に謝れとかならまだいい。 別れろとか絶交とか言われるのは……勝手だがそれだけはいやだった。 奴がどれだけ弟を大切にしていたか知っていたし、奴も俺には初めて出来た親友だったから。 どちらも無くしたくなかった。 だが、俺の言い訳を聞いて暫し無言で何かを考えていたと思ったらとんでもない提案をしてきた。 最初、何を言われたのか、理解できなかった。 『は?』 『だから、俺を抱きなよって。 兄弟だし、間違えるほど声、似てるんでしょ? ………ハルの代わりにその辺の女を抱くなら……俺を抱くといいよ』 どんだけブラコンなんだよ、と初めは思った。 弟を悲しませないために自分の体を差し出すなんて、まるで聖人君子。 兄弟の絆の強さに嫉妬した。 だが……何度も抱いているうちに気付いてしまった。 奴は俺を好きなんだと。 [*前へ][次へ#] [戻る] |