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逃亡…中?

◆◇◆◇◆



「暗くなってきちゃった…」


木々の間から覗く夕焼けから藍へと変わる空を見上げてヒソカは呟いた。

太陽が沈んだせいか気温も下がり肌寒さを感じる。尚且つ不慣れな土地が心細さを倍増させていた。

完全に暗くなってしまう前にもう一度貰った地図を広げてみる。
宿を出る時、少量のお金とこの周辺地域の地図を店主がくれたのだ。
何から何までお世話になって申し訳ないやら嬉しいやら。とにかく彼には感謝しても仕切れない。

この世界も案外悪い所じゃないんだなと、見直してしまった。

店主は逃げ道さえも教えてくれたから。

宿から左側に見えた森を示して、そこを通って逃げなさいと。日が暮れるようなら森にある洞窟で一晩過ごすといいというアドバイスも貰って。


事細かに記されている図面は詳しいがすっきりとしており、普段日本で使っていたものよりも見易いものだった。
じっと見つめ、時には逆さにしたり斜めに傾けてみる。

一分、二分、三分、四分、五分……


「……………うん、無理だ」


それが数分間地図と睨めっこをして出て来た答えだった。

馬鹿な事に自分は重大なミスを犯していた。
気付いたのは調度この鬱蒼と茂る森に足を踏み入れた頃だっただろうか。
地図を貰った事が嬉しくてその事で頭がいっぱいで肝心な事がすっかり頭から抜け落ちていた。


「“現在地”がわからなければ地図なんて読みようがないよね…」


アハハと乾いた笑いが漏れる。

地図には幾つかの集落と数ヵ所に森が点在しているのが記されていたが、自分がどの集落から出て何処の森に行ってしまったのかさっぱり見当が付かない。
右も左もわからぬ土地で独り途方に暮れる。
つまりは自分は迷子になってしまったわけだ。





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あきゅろす。
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