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解放





「ふう…助かりました。ありがとう、おじさん」


拘束を解いてもらい、ヒソカは安堵に胸を撫で下ろした。

紐を解こうと暴れていたせいか、手首と足首に僅かだがついた擦り傷がヒリヒリとした痛みを持っているものの血は出てはいない。


(…よし、拘束も解けた事だから早く逃げちゃお)


思い立ったが吉日、すくっと立ち上がる。
隙が出来たらとか、そんなうじうじ悩んでいられない。このまま奴と一緒に居たら何をされるかわかったもんじゃないのだから。
正にそれは今の事で確信に変わった。


「まっ待った!お嬢ちゃん、何処に行く気だ?」

「え…何処って……とりあえず、ここから出ようかと」

「…逃げるって事かい?」

「……」


店主の問いに口をつぐむ。

この人は…どちらの味方だ?


「…あの人に何か言われたんですか」

「…声が聞こえても気にするな…と、一応はな」


だったらどうして彼はここにいるのだろうか?

訝りつつ見つめると、その視線の意味に気付いたのだろう。にこりと安心させるような笑顔を浮かべた。


「あの男から逃げるんだろう?俺でよければ力になろう」

「…どうしてですか?」


物凄く嬉しい申し出なのだけれど、ラキと自分とを比べると明らかにラキの方が有利であるし力もある。
どう考えても自分を助けても店主に得は無いし、それどころか寧ろラキの反感を買うだろう。





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