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アルバム




――ギギ…ギ…ギギィィ…


巨大な南京錠を取り除いた蔵の扉は鈍い音を立てて重たげにその口を開いた。
しばらく誰も入っていなかった為か、薄暗い中は埃っぽく、空気の篭った独特の臭いがする。


「確かに汚いな…」


やはり中を見ると掃除の必要性を実感する。
蔵といってもほぼ単なる物置と化しているそこは、荷物で溢れ返っている訳ではなくとも積もった埃が尋常ではない。


「う〜ん…がんばろ」


口元を布で隠し、さくさくと掃除を進めていく密。
元々掃除は嫌いではないのだ。












「――ふぅ…ま、こんなもんかな」


綺麗に掃除され見違えた蔵の内部を見回して満足そうに息をつく。


(あ…あの本落ちそう)


最後のチェックをしていたら、目に飛び込んで来た高い位置に不安定に置かれた一冊の本。
近くにあった台を使い、手を伸ばすがそれだけでは届かずに背伸びをしてようやく本に指先が触れた。
しかし、奥に押し込もうとしたそれはどういう訳か逆にバランスを崩し手前に傾いてしまう。


「うわっヤバ…っ!」


ゴンッ


「っ〜〜!!」


手でのガードも虚しく、頭を直撃したそれは床に落ちてバンッと激しい音を立てた。
音からしてもかなり重い本だろう。

たんこぶが出来てしまった頭を摩りながら後ろを振り向けば、そこには臙脂色の分厚い本が落ちていた。

台から下り、涙目になりながらその本を開いてみる。


「! これ…アルバムだ」


開いたそれは無数の写真が飾られた古いアルバムだった。

ぱらりとめくってみると、寄り添う若い男女の白黒写真が貼ってあった。


「…若い頃の…おじいちゃんとおばあちゃん…?」

(っていうか、おじいちゃんカッコイイな…)


何枚か見てみたが現代でも十分通用するイケメンだ。

また他の写真も見てみると今度はカラーで子供二人と写っていた。

金髪の男性が抱っこするのは同じく金髪の小さな女の子。その隣で黒髪の女性が手を引くのが同じく黒髪の、金髪の子よりも少し年上な女の子。
その子達は密の母の初音と、その妹で叔母の桃衣だった。

桃衣もまた密と同じで金の髪をしていたのだ。





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あきゅろす。
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