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ついて来た

◆◇◆◇◆



「…なんで?」


何度目か後ろを振り返った季紗人はついついそう零した。


“今朝からずっといるのよ。あたし極度の猫アレルギーだし旦那も猫苦手でどうしようもなくって…。雨の中可哀相だけど…”

という陽子の話からてっきりまだそこに居座るものとばかり思っていた子猫が、何故か自分が店を出た時からずっと後をついて来ているようなのだ。


自分より二メートル程後ろ、雨に打たれながらもあの子猫は自分が立ち止まる毎にちょこんと一緒になって立ち止まる。

これは明らかについて来てるとしか思えない…







「……はぁ」


とうとう季紗人の住むアパートまでついて来てしまった子猫。それでも一向に何処かへ行こうとしない子猫に一つ溜め息をつく。

ここまで来てしまった上にこんな雨の中にこの子を放置するのは忍びなさ過ぎる…

しかたがないなと諦め、季紗人はラグーンから借りてきた傘を子猫の上に翳した。


「私の家、来る?」


そう問い掛けた言葉が通じたのか、子猫は直ぐさま差し出された片腕へと飛び込んできた。

あまりに素早い動きに一瞬目を丸くしたものの、その小さな体をしっかりと抱き上げて二階の我が家へと階段を上って行く。


「私のアパート動物禁止だから騒いじゃ駄目よ。わかった?」


そう言い聞かせるように言えば子猫は頷くように頭をこくんと縦に振る仕草をした。





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あきゅろす。
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