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一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女
3


「・・・ねぇ、沙刀」

ーーービクッ

あの日のコトを思い出してた沙刀は、突然、盧杞の言葉により現実世界に呼び戻される。

「な、なんだよイキナリ」


「・・・・。」

沙刀が盧杞を見なおせば、彼は、既に窓の外ではなく、再び真っ直ぐと沙刀を見つめていた。



、・・・まるで沙刀を、いや、沙刀と同じもう一人の復讐者、自分自身を、まるで鏡合わせの自分を自傷するかの様に見つめ


そして

「・・・。本当はわかってるんだ。俺も・・・お前も、進学以外に道はないってこと。だって高卒の公務員なんかじゃ、国は滅ぼせないんだから」

そして、馬鹿みたいだと、言いながら、嗤った。


「ああ、・・・そうだな」

沙刀も、盧杞を見て嗤う。




無力な日々がまだ終わらない・・・。
だけど、俺たちは止まれない。


全てのバケモノ共を皆殺しにしてやるまで


目の前のちっぽけな目標よりも、その先の祈願を叶える為に


お互いが本当に馬鹿みたいだと言いながら声を出さず笑った。

そして、沙刀は、突然、盧杞から視線を外し鞄の中から、一本のボールペンと、紙を取り出した。

そして、しっかりと大きな文字で、進路希望書と書かれた、その用紙に沙刀は、今度こそ迷いなく、【進学】と書かれている方に、しっかりと大きな円で、丸をした。










彼らは、は8年間、何もできなかった。


大事な全てを奪われたのに
今もこれ程憎みを抱えているのに。


そして彼らの無力さは
これからも・・・少なくとも、大学を卒業するまで・・・また、続く。


まだ続く。



・・・・そう思っていた。

沙刀も、盧杞も。


何故なら彼らはこの時、知らなかったのだ。



本当は、真実が、目の前に迫っているということを、無力だった日々が、偽りを抱えていた日々が、終焉を迎えようとしていた事を。


彼はは、知らなかった。


AM9:45


残り15分・・・。

それが、彼らの、今まで無力な日々が終わるまでの時間だ。

そして、新たな選択が始まる時間であった。


※※※

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