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一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女
1

「お前みたいな、偽善者にはこの仕事は向いてねぇってことだよ」

遠回しに仕事をサッサと辞めろと言われたことに気がついた姫路は、そんな篠崎の態度にムッとしながらも、言葉を続けた。

「私のことは放って置いてください。それより篠崎さんはこのままでいいんですか?・・・こんな・・・、めちゃくちゃの指令・・・。」

そういわれて、篠崎はもう一度上層部からの指令書を見直す。
しかし篠崎から見て別に、めちゃくちゃな事を書いている訳ではなかった。

指令書にはこう書いてある。

【本日から、軍が解除を指示を出すまで警視庁魔能力者管理部署は、例え魔能力者管理システムが作動しようと、市民からの通報があろうとも、軍の許可なく、人員を動かしてはならない】

というものだ。


つまり要約すれば、軍が指示するまでは、何があっても、動くなというもので、裏をかけば、政府は近い内に何らかの行動を起こすということになる。

・・・・恐らくは一般市民を何らかのカタチで巻き込むはずだ。

だけど篠崎は思う


こんな指令書は、まだマシな方だと。酷い時にはもっと、非人道的な内容の指令書が送られてくる時もある。

今回は、自分達が手を汚すことはないのだ。だだ自分達は何が起きても、見ないフリをしておけばいいのだから。

「いいか姫路・・・、てめぇは、この部署に配属されて間もないからそんな事が言えるだけなんだよ。この部署は結局は、軍が魔能力者に行っている非人道的な行為をカモフラージュするためだけの場所なんだよ」

「今回はまだマシな方だ・・・だから姫路てめぇは余計な事をすんな」

コレは、篠崎の姫路に対する忠告だった。

篠崎は、姫路の事を好いてはいない。しかし、自分の部下を見殺しにするほど、薄情な人間でもなかった。

「死にたくなければな・・・。てめぇみたいな奴は今までこの部署に、何人もいたが、全員事故で死んでるか行方不明になってる」

篠崎の言葉に、姫路は「え?」と短く声を発した。その表情からは驚きの感情が伺える。


今まで、この部署で姫路の様に指令を受け入れることの出来ない者は何人もいた。

篠崎だってはじめは、受けいれることがで来なかった。

しかし、指令を受け入れることができず、何らかの行動を起こしていまった、篠崎の先輩や、同僚、後輩は、一人残らず何らかの不慮の事故でなくなっていき、やがて篠崎は指令に背く勇気もなくなってしまったのだ。

恐らくは、政府によって殺されたのだ。

政府や軍が、何をそんなに必死になっているのかは、篠崎にもわからないが、コレだけは言える。

絶対に指令に背いてはいけない。

「だから、絶対に余計な事はするな。他の奴らもいいな?この指令は絶対だ!」


篠崎の部署中に響くほどの声とともに、本日より警視庁魔能力者管理部署は




全機能を停止した。


※※※

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あきゅろす。
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