一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女 醜善-ミニクイゼンイ ※※ PM12:50 東京国東京東京都駅付近某所 「部長・・・コレはいったいどういう事でしょうか」 昼過ぎ、明らかに納得のいっていない様子の部下が、先ほどの軍部より送られてきた極秘資料を上司の机の上に広げる。 ここは、警視庁魔能力者管理部署。警視庁に存在する魔能力者を捕獲することが仕事の部署だ。 東京国で、魔能力者を捕獲する場合、一般的には警視庁魔能力者管理部署が取り仕切っていることで知られている。しかし、それは、国民に知らされた本当に表向きの事であり、実際に魔能力者を取り締まり、捕獲し管理しているのは、政府直属の東京国軍部の科学班だ。彼らは、魔能力者をまるで実験動物の様に扱っていると聞く。しかし、その情報すらも、本当かはわからなかった。 もしかすると、東京国軍よりも、もっと上の立場の、国や、宗教が動いているのかもしれない。 東京国は世界的にも技術が優れているとはいえ、土地に資源のない、大陸国に頼っていかなければ存続させていくこともできない弱小国だ。 だから、上層部がどうなっているかなんて、下っ端の部署にいる者たちには知ることもかなわ なかった。 だから、この魔能力者管理部署は本当に、殆どお飾りの状態の部署で、この部署の殆どの人間はこの事を理解していた。わかった上でこの部署で、働いている。 しかし今月この部署に配属されたばかりの部下、姫路(ヒメジ)は、このことを、まだ納得していないようだった。 上司である篠崎(シノザキ)は、ハァーと大きな溜息を吐く。 まったく・・・、どうしてこんな奴が、こんな部署に配属されてきたのか。それが最近の篠崎の悩みであった。 姫路は別に、仕事ができない訳ではない。いや、むしろ、出来すぎているくらいだった。 それぐらいならば、篠崎も、新しく来た、部下を歓迎し可愛がっただろう。 しかし、姫路という男はいわゆる今時の好青年といった男で、無駄に正義感が強く、無駄に爽やかな奴だ。しかも、22歳というにはかなり童顔だがヤケに顔が整っており、黒い髪と黒目でなければ、本当に東京国民なのか疑いたくなるほどの格好良さで・・・。 残念ながら、中年男の篠崎からすれば、こういった何もかも完璧な、若い女性を虜にする様な、チャラチャラした奴が気に食わなかった。 しかも、ことあるごとに、こう納得がいかないと反抗されては、個人的な好き嫌いだけではなく、部下としても気に食わなくなるのは当たり前だった。 「・・・てめぇが納得いかないと言ってもな、既にコレは上からの確定事項なんだよ。」 「しかしッこのままでは一般市民を・・・」 「だから、そーゆのは、全部上の奴が決めんだよ、一般市民を巻き込むとかいってる前に、お前はまず自分自分の心配をしろ」 「私がなにか・・・」 [*前へ][次へ#] [戻る] |