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一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女
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沙刀は、盧杞に言われて考えを変えるのは少しだけ癪だと思ったが、自分自身の直感のみしか、信じれる物がない状態が嫌だったので、とりあえず考えを切り替えて、思い切って椎葉に聞いてみることにした。

「・・・なぁ。椎葉、お前はアノ転校生を見て何を感じた?」


「・・・それは直感という意味で?それとも、性格的な面でか」

「勿論、オーラとか、直感の方だ。こういったら変に思われるかもしんないけど、アイツは普通じゃあない・・・・そんな気がするんだ。」

椎葉から見れば、沙刀が、謎の転校生にこれまで執着を見せてることなんて、不自然に思うのが当たり前のはずだった。と、いうか沙刀自身もある意味で自分自身におかしさを感じていた。

だけど、椎葉はその問いに対し、嗤うことはなかった。

沙刀のあまりにも、本気の姿に、何かを感じたのかもしれない。そして、先ほどまで閉じていた唇が少しだけ開き出す。

「・・・黄金」

「・・・。」



「黄金。アイツは常に、黄金の光を纏っている。黄金の光は、威光、権威、力、信念の意味を表す。この光を纏った人間は、過去の表舞台の英雄の中にも多くいる・・・。だが英雄と、罪人なんてものは紙一重だ。結局はどちらも其の手を血で染めずには、いれない・・・、だからお前が、アノ転校生を、普通じゃないと感じたのはココからじゃないか?黄金の光は人々魅了すると同時に、恐怖を生み出す・・・。」

沙刀は、椎葉の言葉に、確かにあの転校生には、黄金のオーラが一番しっくりくるのではないかと思った。

しかし、椎葉が転校生に感じたものは決してそれだけではないはずだ。沙刀は、椎葉に聞きたかったもう一つの本題を聞き出した。

「じゃあ、椎葉自身はあの転校生に何を感じた」

「は?」

椎葉は、気の抜けた言葉を返した。それも当然だろう。だって、その質問は、たった今沙刀自身が椎葉にしたものだ。なのに、もう一度同じ質問を尋ねる沙刀の真意を疑ったのだ。

「だから、今」

椎葉は沙刀に、自分が質問の答えを既に答えたことを伝えようとしたが、その言葉は沙刀に遮られることとなった。

「違う・・・、さっきのは、転校生の纏ったオーラについてだろ?今度の質問は違う・・・、本当は、椎葉自身もあの転校生に何かを感じたんじゃないのか?って話だ。だから転校生を殴った・・・違うか?」



「・・・ちょっと、沙刀」

今まで二人のやりとりを傍観していた盧杞も、流石に沙刀のこれ以上の追求を止めようとする。

幼馴染の盧杞からみて、今の沙刀は、真実を追求しようとする余り、どうみても、変で正気を失っている様に見えた。


だけど、別に沙刀は正気を失っているわけではない。沙刀自身かなり、頭が冷静すぎる状態だと思った。

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