一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女
1
・・・。咄嗟に思いつく言葉を、そのまま発言してしまった沙刀。沙刀は視線を椎葉から離し、いたたまれない気持ちになりながら、心の中で、自分なに言ってんだ・・・、と思った。
顔が自分の意識とは別に、勝手に紅潮していくのがわかる。
秘密会議って何だ・・・?今時小学生でも、そんな、嘘いわねぇよ・・・。
沙刀は自分に対しいたたまれない気持ちになりながらも、少しだけ、ほんの少しだけ希望を椎葉に願った。
もしかすると椎葉も、このギャグ的な会話に笑ってくれているかもしれないと思ったからだ。そうして沙刀は椎葉の顔に、再びユックリと視線を合わせるが、しかし、やはり結果は残酷だった。
「・・・・・・?」
当然の如く、何言ってんだコイツ、頭おかしーんじゃねーの?という風に顔をしかめていた。普段は無表情な椎葉が、心なしかひきつっている。
(ハハ・・・ですよね・・・。ってか、お願いそんな哀れみの目で俺を見ないで・・・。)
沙刀は、椎葉から視線を外し、今度は盧杞に、助けてと隣を見つめヘルプ信号を送った。すると盧杞は、苦笑いをしながらも、沙刀の視線の意味をくみ取ってくれたのか、ハァーとため息を吐きながら、椎葉を見上げた。
そして盧杞は、
「なんか、沙刀が転校生が普通じゃない、とか言うんだよ。犯罪者の目ぇしてんだって」
とんでもないことを言い出した。
「オイ、盧杞?
お前なにいってんだ?!」
当然の如く沙刀は焦った。それは当たり前の反応だろう。何故なら、ただでさえ、秘密会議などという変な単語を口走ってしまったのに、更に目がオカシイだなんて、そんなことを、イキナリ少しだけ仲がいいレベルの椎葉に話すなんて話せば、ますます、コイツ狂ってるんじゃねーの?と思われること間違いないからだ。
「いいじゃんか別に、だって、椎葉、そーゆー、オーラ?とかいうの見んの得意じゃん?ほら・・・、この間、罰ゲームの一発芸で、クラスのほぼ全員のオーラ言い当ててたし。」
そうなのだ。椎葉は先日、王様ゲームで一発芸をさせられた際、クラスの一部の人間のオーラをいった。普通、王様ゲームのノリで、そんな芸を披露すれば、惹かれること間違いないのだが、椎葉の的確な解答や、それと同じオーラを持った芸能人など共に告げるなどして、王様ゲームが中断する程かなり盛り上がった。
因みに、クラスの全員が、椎葉のオーラについて認めたのは、佐久間のオーラが、ドス黒く、本人が埋もれるほど、輝いている、と言った時点で信憑性が確定された。
・・・とゆうか、普段オーラなんて物が見えなくても、クラスの全員は、佐久間のオーラを既に認知していたりしたのだが。
沙刀は、はじめは、盧杞に対しお前何いってんだ?!という感情でいっぱいになっていたが、こうして考え直してみれば、椎葉に聞くのは正解なのかも、しれないと思った。
何故なら沙刀は、普段、直感なんて超能力が働くことのないのに、転校生熊沢ムギを見て怪しいと、いや、むしろ不快に思ったぐらいなのだ。
素人の沙刀が見て、怪しいと思ったぐらいなのだから、その道のプロ(?)の椎葉も転校生を見て何かを感じたのかもしれない。
(まぁ・・・確かに盧杞の案も名案ではあるか・・・)
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