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一ノ章 嘆きの鴉と謳う魔女
嘘恨-ウソウラミ


扉をあけた後、椎葉は、二人が居ることに、少し、かなりほんの少しだけ驚いた顔をしながら、会話の可能な距離までやってきた。

「二人共、授業サボってこんなところで何している?」

キョトンと首を傾げ、二人を見つめた。整った顔が、真顔というのは何故か迫力があるものだ。



椎葉 魔虎(シイバマトラ)

真っ黒な髪に、猫目がとても特徴的な、佐久間の相方のクラス委員だ。感情を表に出すことが、あまりなく、無表情がキャッチフレーズのような人間でオマケに体育の成績はかなり悪い。こうして、椎葉魔虎の事を口にだしてみれば、オタクの様な根暗の印象を受けるだろう。しかし、彼は、その無気力な性格とは裏腹に、意外にもかなり、暴力的だ。今朝の転校生熊沢ムギを殴った事件だけではなく、過去に彼の外見について(身長や、可愛い顔立ちについて)しつこく触れた者は、男子は、病院送り、女子は、二度とそんな事を言えない様なそれに匹敵・・・、いや、それに勝る言葉での暴力を返されている。

こんな、聞けば聞くほど、あまり褒められた性格をしてないような椎葉だが、実は学校の生徒や先生には余り嫌われていないなかった。

一部の生徒や先生は、生意気な奴だとか、女子に暴言を吐くなんて最低などと糾弾しているが、学校の殆どの人間は、椎葉の事を好気で見ている。

やはり一番の理由は、その外見の良さだろうが、それだけではなく、椎葉はかなり、人に対して優しい。それは、男女に差異はなく、重たい荷物を持っている人には、例え見知らぬ人でも、先生でも、後輩でも助けるほどで、暴力的な面や、人との関わりを出来るだけ避けている面を除けば、かなりの出来た人間である。

と、いってもその二つのマイナス点を除けば、それは既に椎葉ではないのだが。


沙刀達にとって椎葉は、佐久間同様に、クラスの男子を4.5人ぐらいのグループにわければ、一緒に組むぐらいのレベルの、様するに親友と例えるには程遠いが、友人とは呼べる、友人だった。



沙刀と盧杞は、椎葉がいきなり登場したしたことに、若干驚き顔を見合わせたが、しかし驚いたのはお互い様だろうな、と思った。


沙刀と盧杞は、ただ単に、いきなり屋上に人が現れたことに驚いたのだが、あいにく、椎葉は別に屋上に人がいたことに驚いたのではない。

一限目が始ったにも関わらず屋上で、話し込んでいる沙刀と盧杞に驚いたのだ。


沙刀も盧杞も優等生としての資質は皆無だが、しかし、別に不良というわけではない。確かに沙刀は両耳にピアスをあけ、盧杞は髪の毛を胡桃色に染めている。しかし、別に普段から意味もなく授業をサボっているわけでも、生徒指導につれてかれるようなことをしているわけでもないのだ。

椎葉からすれば、そんな二人が、一限目から授業をサボっているのが謎だったのだろう。


・・・ちなみにだが、椎葉が授業をサボるのは、かなりよくある事だ。

クラス委員という、クラスを束ねる役員でもあるに関わらず、椎葉は授業をよく無断で欠席する。しかも、大抵は屋上や、裏庭で昼寝をしているのだが、しかし、今回は、転校生、熊沢ムギを殴り飛ばした事により、クラスに戻りたくなくて、授業をサボっているのかもしれない。


たった今、椎葉は二人に、何故ココにいると、問い掛けたわけなのだが・・・。

しかし、当然先ほどの事をありのまま話せるわけがないと思った沙刀。

次の瞬間、

「いや・・・チョット秘密会議を」


沙刀は、かなりとんでもないことを口走ってしまった。

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あきゅろす。
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