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日乱
想いの欠片を形にして(シロ誕 フリー)
※これはフリーです。
持ち帰る際には報告はいらないのでHP名とアンジェと表記してくださると幸いです。



何をあげれば喜んでもらえる?


想いの欠片を形にして


さぁて、今日、12月20日は。かの十番隊隊長・日番谷冬獅朗の誕生日。
そしてあたしはかの十番隊隊長・日番谷冬獅朗の副隊長。
そうなりゃ誰もがビックリするプレゼントを用意しなくちゃいけないでしょ!!

「いけないんだけどねぇ・・・・。」

はぁ〜〜〜と心の底から出たようなふかーいため息をついたのは今、八番隊にて絶賛茶飲み中の松本乱菊、その人である。
「・・・乱菊さんって、時々どうして?って思うくらいまぬけですよね・・・。プレゼント用意してないなんて・・・。」
「言わないで七緒!!昨日用意するつもりだったのよ!?でもほら、目の前にお酒があってみんなの温かい笑顔があったらそりゃ行かないといけないと思うでしょ!?」
「・・・・ようするにまた檜佐木さん達と飲みに行ったんですね。」
「・・・・良い酒が手に入ったって言うから・・・。」
「・・・・・・・・見事に檜佐木さん達の作戦にはまったんですね・・・。乱菊さん・・・。」
「え?なんか言った?」
「いえ、何も。」ず、と七緒は茶をすする。乱菊はその姿を恨めしそうに見ながらまたため息をついた。
「ねぇ、参考までに七緒は誕生日に京楽隊長に何をあげたの?」
「良い隊長になるにはシリーズ。現在150冊刊行中以下続刊を毎年差し上げてます。」
「はい?」
「日番谷隊長にも前回ってきたことあったでしょう。良い隊長になるにはどうすれば良いですか。というインタビュー。あれ、本を出してるんですよ。」
「・・・・・・・・・・・・いや、それはわかってるんだけど・・・。」
乱菊は思わず上目遣いに七緒を見やる。七緒は机に置かれた乱菊の手土産の練り餡の『未開紅』を切っている。
「・・・京楽隊長、それで喜んでるの・・・?」
「それはもう。ひとしきり泣いて『ありがとう七緒ちゃんっ!』って言ったあと『でも、七緒ちゃん。こうして毎年毎年同じシリーズをくれるほど、ぼくってだめな隊長なの・・・?』ってショックを受けた顔をなさいます。」
「・・・・・微妙ね。」
「そうですね。」
ず、と、七緒は茶をすする。乱菊もぬるくなった茶を口に運んだ。

「本当はねー。良いのがあったのよ。」
「はい。」
「でもね。それ、女物の、ペンダントだったの。」「・・・・・。」
「ペンダントトップは雪の結晶でねー。きらきらしてて綺麗で、銀の細い鎖で・・・。て言うか、あたしが欲しくなっちゃったのよね。だからあげるのも買うのもやめたの。高かったしぃ〜。」
「・・・・・・それって・・・・。」

「まぁそんな事言っててもしょうがないんだけどね!!じゃあ七緒!お茶ありがとう!」
「あ、はい。あの、乱菊さん。」
「じゃあね!七緒!覚悟決めて書類と戦ってくるわ!」
「あ、はい・・・。さようなら・・・。」

瞬歩で消えた乱菊の軌跡を目で追っていた七緒は京楽の自分を呼ぶ声で我に返った、

「七緒ちゃん。」
「・・・はい。」
「・・・・さっきの乱菊ちゃんが言ってたペンダントって・・・。」
「はい、多分・・・。」
「・・・・・言わなくて良かったの?」
「・・・・言う気も失せまして。」
「・・・そうだね。ところで、七緒ちゃん。来年のプレゼントは七緒ちゃんが良いな♪」
「却下。」


「と言うわけで隊長!!この松本乱菊!今日は愛しの隊長の下僕になります!!!」

ブー―――――――――――ッ

暢気に茶をすすっていた冬獅朗は乱菊の結構際どい発言に口に含んだお茶を思いっきり噴出した。
「あ、隊長。汚いですよ。ちゃんと拭いてください」
「おっ・・・お前、行き成り何言ってるんだ!」
真っ赤になった冬獅朗に乱菊はきょとん、と首を傾げる。
「え、なんだったら下女でも良いですけど。」
「・・・・お前、さっきから、何言ってるんだ?」
やっと恥ずかしさの波が過ぎた日番谷は噴いたお茶を拭くための布を探したが見つからなかったので目の前にあった吸い取り紙で机を拭く。
「だからですね!愛しい隊長の誕生日の為に一生懸命プレゼントを探したのですが見つからなかったのですよ!」
「偉そうに言うな。昨日飲みに行ったくせに。」
「何で知ってるんですか・・・話が進まないので進めますね。で!あたし、松本乱菊が今日は隊長の手となり足となり隊長への誕生日おめでとうの気持ちを体で表現しちゃおうってわけですよ!」
「ほほう。」
「体で払っちゃおうってわけです!プレゼントはあ・た・しvって奴ですよ!」
「だからそういうこと言うなって!!」
ギリギリ際どい発言に再度日番谷が顔を赤らめる。

そして日番谷は徐にすっと手を書類の上にかざした。

「これ。隊長用以外の書類全部。もちろんお前のも。」
「はい。」
ごくり、と乱菊はつばを飲み込む。

「全部片付けろ。」

「・・・・イエス・サー!!」
「誰がサーだ。誰が。」

乱菊は働いた。そりゃもう働いた。一生懸命に働いた。今までに無いくらい働いた。
これも日ごろの隊長への感謝を示す為。産まれてきてありがとう、そう仕える為。
そして乱菊は1つ、心に誓った。

・・・来年こそは・・・絶対プレゼント用意してやる・・・と・・・!

その夜、乱菊は日番谷の部屋に居た。日番谷の命令(?)で夕飯を作っているのだ。もちろん乱菊も一緒に食べるので2人分だ。
今日は乱菊が一生懸命働いたお陰で仕事も速く終わり、定時ぴったりに帰ることができた。(十番隊隊員は目を丸くして驚いていた。)
乱菊は思う。
書類地獄より料理の方が何百倍もマシだと・・・!

「・・・・・・うまい。」
「でしょう!?」
2人で仲良く食事を終えた後、日番谷がにやり、と笑った。
「おい、松本。目を閉じろ。」
「はい?」
「いいから。」
そう言われて乱菊は慌てて目を閉じる。シャラ・・・と言う心地良い金属音と首元に冷たい感触がした。
「もう目を開けて良いぞ。」
そう言って目を開けて自分の首下を鏡で見るときらきらとあの雪の結晶のペンダントが煌いている。

「・・・これ!?どうしたんですか!?」
驚く乱菊に日番谷が照れくさそうに斜め下を向いた。
「・・・この前、お前が非番の日に。」
「はい。」
「甘納豆を買いに流魂街へ行ったら・・・お前が物欲しそう〜〜〜にそれを眺めてたからな。・・・20分以上身動きもせずに。」
「うそ「本当だバカ。」」
しゅん、となる乱菊に日番谷はそのまま続ける。
「あまりにも物欲しそうだったから伊勢に頼んで買ってきてもらった。まさか雪の結晶だとは思わなかったがな。」
不適な日番谷の笑みに乱菊は思わず赤くなる。
「・・・・あたしそんなに物欲しそうにしてましたかね・・・?」
「してた。」
即答され、さらに赤くなる。
「まぁ今日良く頑張ってくれた礼だ。ありがたく受け取れ」
「はい!ありがとうございます!!」
乱菊は思わず日番谷に抱きついた。日番谷も乱菊を抱きしめる。


そして日番谷は乱菊の額に小さくキスを落とした。









(まぁ、いつまでも銀色の鎖があいつのようにこいつの胸に光ってるのも良い加減我慢の限界だしな。)



〜FIN〜


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