[携帯モード] [URL送信]

日乱
松本さんのお許し
※ これは松本さんのお怒りの続きです。先にそちらを読んでからお読みください。


「いけないいけない。」

雷が落ちて二日(と、7時間25分45秒)後。

あの後、日番谷隊長はなんとかその日以内(PM 11時59分)に終わらせることができた。
ふうっ、やれやれ・・・面倒な事になってきたねぇどうも・・・な状態である。
いや、日番谷はそんなのんきなセリフを言っていられる心境ではないのだ。
なぜなら・・・雷が落ちた次の日。

・一日目・
むっす――――――――――――。
「松本・・・・さん?」
日番谷よりもやはり先に執務室に来ていた松本は誰がどう見ても怒っていた。

無言の、怒り。=無表情

いつもの笑顔のかけらも無い。

・・・・・怖い。

と・こ・ろ・が
「しろうちゃ〜〜んvv乱ちゃ〜〜〜〜んvvvあっそびに来たよぉ〜〜〜〜〜〜〜うvvv」
「あのな、草鹿・・・今取り込んでるんだ・・・・・どこか他のところに・・・・」
「いらっしゃいvやちるvどうしたの?今日は。」
「へ・・・・?」
「あのねっ!この前ツルリンが非番で『毛が生える温泉』ってのに行ってきたらしいの!だから温泉饅頭vおすそわけ〜v」
「あらvありがとう。で・・・・・生えたの?」
「ううん!全然!!でもツルツルしてた方がツルリンらしいもん!」
「それもそうね・・・・。ありがとうv大事に食べさせてもらうわ。」
「うん♪そうして♪じゃね〜〜乱ちゃん!しろうちゃん♪」
「じゃあね。またおいで〜〜(^v^)/」

パタパタ・・・・・・・・バタン←障子の閉まる音

「ま・・・・松本・・・・?」
「なんですか?」
無表情アーンド冷淡な声。
へえ〜こーんな表情・こんな声あったんだ〜。と感心できる場合ではない。ってかできない。

つまり乱菊は他の隊長、副隊長、もちろん隊員にはいつも通り接しているのだが、日番谷に対しては機嫌悪さ続行中なのである。

まぁ原因は日番谷なのだが。

いつもなら、少し悪いことがあっても次の日には「おっはよ〜ございます〜v隊長v」とか言うのだが・・・・。
今日はおはようございます。さえ無かった。

落ち込む。これでは落ち込む・・・・。

このままでは落ち込みすぎて地面が割れ、溶岩の中で己の体など一瞬で溶けてしまうだろう。
でも・・・・・・・・・・。

「そっちのほうが、いくらかマシ。」


二日目・・・・。
朝、六時三十分・・・・。日番谷はいつもより三十分も早く執務室に来た。
ト コ ロ ガ

すでにそこには乱菊が居たのだ。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」

やっぱ、無視か。

ちくしょう。

ガタン。

どうやら書類を届けに行くらしい。でもまだ早いと思うんだが・・・・・・・。

「おい、まだ早いと思うんだが・・・・・・。」
「知りません。」

スタスタ・・・・・・・・。パシンッ!!!!

怒ってるのが、丸分かり。

怒らせるとたちが悪いと言う事がようやく分かった気がする。
わかったから、もういい加減こんなことはやめてほしいのだが・・・。
どうすれば許してくれるだろう・・・。

日番谷は頭を抱えて悩みこんだ。

その矢先。

「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
乱菊の大絶叫に思わず椅子からはじけるように立ち上がると・・・・・・。
「あんた何やってんのよ!こんな所でギン!!」
『市丸だと!!!?』
自然と額に青筋が浮かぶ。
「乱菊や〜んvお久しぶりvどうしたん?こんな朝早く♪」
「それはこっちのセリフ!!あたしはいつもこの時間帯よ!!」
「そうなん?やっぱり乱菊は早起きやなぁ〜v」
「・・・・あんたよりはね。でもギン、あんたどうして早いのよ。っていうか何でここに居るのよ。」
「ん?ちょっと。」
「ふうん。」

ムカつく。ひっじょ〜〜〜にムカつく。自分は話しかけることにもものすごく神経を使うのに。なんだ、これは。
すらすらと話を進める二人の会話を聞きながら青筋を立てまくっている日番谷は、とうとう障子に張り付いて会話を盗み聞きしだした。

「あら、もうこんな時間。あたし七緒に書類を届けに行かなきゃ朝一番に持ってきてくれって言われてたし。それじゃあね。ギン。」
「うん。・・・・・・・・乱菊・・・。」
「ん?」
「やっぱりボクも八番隊についていく〜〜〜〜」
「へ!?」
「ええやん♪どうせ今日も十番隊長さんとは喧嘩しとんのやろ?」
「う・・・・・・・まぁね。」


違う・・・・・。だろ。


「ほな、行こうや。」

考えるより先に、体が動いていた。

「ちょっと待て!!!」
市丸に手を引かれて、振り返った乱菊の瞳とぶつかる。
「・・・・・あ・・・・・・・隊長・・・・・。」

久々に、無表情以外の表情(かお)を見た気がする。

「帰って来い。松本」
「・・・・隊長・・・・・」

いいんですか?と、目で聞いてくる。
当たり前だろ?と俺も返す。

乱菊は市丸の手を振り払って日番谷のところに駆け戻った。

「なんや。つまらんなぁ。乱菊、もし日番谷タイチョさんに愛想尽かしたらいつでもボクの所においでv」
「行かす訳ねぇだろ。お前のところなんかに。」
「行くわけないでしょ。」
「ひどいわぁ。乱菊も、日番谷隊長も。ほんま酷い。」
「「お前に比べればマシだ(よ)!!!!」」
「こわこわ。ほなな、乱菊、十番隊長さん。」

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「え・・・・っと松本・・・・・。」
「隊長!!!」
「はい!!」
「ありがとうございました!!!!」
「え。」

そうやって、にっこり笑って。まるで、子供みたいに。
だから、調子狂うんじゃねぇか。

そうやって頭をばりばり掻くと

「さーって今日も仕事、やるか。」

君の笑顔で元気になるのも確かで。
やる気が出たのも確かで。

・・・・やっと、笑ってくれたから安心したのも確かで。

雷が落ちて、二日と七時間二十五分四十五秒後。



今日の天気は、大快晴。




               

[*前へ][次へ#]

5/28ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!