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日乱
Sink a sink.(日→←乱 独白)


誰も知らない。誰にも言わない。総ての想いに蓋をして。鍵をかけ、水に沈める。

深く深く沈めたら。

まだ、まだ。と呟いて。

そこから、立ち去るのだ。




Sink a sink.




「雛森。」
「日番谷くん。」
幸せそうな二人。そう見えるのは、あたしだけ?
だってホラ、ぱっと見お似合いじゃない!
隊長は将来有望株だし、身長も更木隊長までは行かなくても、あたしよりちょっと低めかあたしより高いくらいは伸びると思うのよ!
卍解だって完成に近づいてるし………仕事はちゃんとするし美形だし男らしいし!

そして雛森は、副隊長だし、可愛いし、すごぉく守ってあげたぁいって感じなんだもの!
まさに、女の子〜〜〜〜って感じ?

それに雛森って一途だし、絶対たいちょの様な男がお似合いだと思うのよね!
たいちょも、雛森の事が好きだし、絶対守り抜くって誓ってるし!
それに隊長を『くん』呼びできるのって雛森だけよ?
あたしがこの前言ったら顔を真っ赤にして怒られたし。
二人は幼馴染みだし。あたしが知らないたいちょを雛森は知ってるし!
ホラ、お似合い!





………………………だから。








あたしの、想いは、捨てるの。



誰にも知らせない。
誰にも、言わない。
総ての想いに蓋をして。鍵をかけ、水に沈めるの。

深く深く沈めたら。

まだ沈め。まだ沈め。と呟いて。

そこから、立ち去るの。


深く深く沈めたまま。
誰にも触れられる事の無いように。
しっかり鍵をかけたまま。
何も見なかった知らなかったフリをして。
あたしは想いを沈めたまま、そこから立ち去るの。


何故そんな事をするかって?

それはね。


隊長の幸せを願うから。
隊長の、想いを叶えてあげたいから。
だからあたしは良いの。もう、良いの。


恋心と知る前に、それは深く深くに沈めたから――――。






「乱菊。」
「ギン。」
お似合いだと、思う。
パッと見、美男美女カップルだ。
しかも幼馴染みで、まぁ所謂気心の知れた仲だし。
隊は違うが隊長副隊長で階級的にも釣り合っている。
身長だって、俺と違って綺麗なもんだ。
雛森が見る辺り、きっと『理想のカップル!』って所だろう。
松本は強いようで弱い所もあるし、それを全て包み込めるようなお互いを知り尽くしている市丸とはお似合いだろう。
それに俺が知らない松本を市丸は知っているしな。

ほら、お似合い。






だから。

俺の、想いは、沈める。


誰も知らない。誰にも言わない。総ての想いに蓋をして。鍵をかけ、水に沈める。

深く深く沈めたら。

まだ、まだ。と呟いて。

そこから、立ち去るのだ。





だが。





勘違いするな。


『捨てる』わけじゃない。
『沈める』だけだ。



だって、『まだ』早いだろう?あいつに『愛している』と伝えるのは。
俺はまだガキだから、まだあいつに追い付けない。

別に、沈めた先で鍵が壊れたりして想いが出てきても構わない。
ただ、誰にも触らせない。
この想いは、俺だけのものだ。たとえ松本でも、この想いは壊させない。
無かったことになんかしない。
忘れたりなんかしない。


だからこそ、水の中に沈めるのだ。
いつかの日のために。
『まだ早い』。『まだ早い』と呟きながら。


恋心と知ってしまったのだから、もう総ては遅いのだ。
いつの日かの為に。
いつの日か、あいつの白い手を捕らえるために。




Sink a sink...
(沈め、沈め。)


深く沈めて。
(戻ってこなければ良い。)
(いつの日か、戻ってくれば良い。)




想いは、水の中に。












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あきゅろす。
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