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俺達は未だ馬鹿のまま
「もう終わりにしようや」

ぐ、と背中に回された腕に力がこもる。こいつが短刀でも仕込んでいたら、きっと次の言葉は出なかっただろう。頬に当たる銀髪から血の匂いがした。それをどこか懐かしく感じる俺も相当甘い。

「好きなんだぜ、お前の事よ」
「俺が思っている以上に甘ぇよ、銀時」

自嘲気味に口角をあげる。銀時に向けて言った筈なのだが、己にも矛先が向いている気がした。結局俺達は馬鹿なのだ。捨てきれない奴なんて死ぬだけなのに。まだ銀時に執着…否、依存している。仲間も感情も捨てた筈なのに、こいつだけは。

「そんな事知ってらあ」

力なく放たれたその声は震えていた。こもった筈の力が僅かに緩んだ事で銀時の腕から抜け出す。一瞬驚いたように目を開いた銀時だったが、すぐに悲しそうに笑った。
地に刺さったままだった刀を抜けば、銀時も木刀を拾い上げる。重い空気に閉塞感を覚えた。銀時の軽く伏せられた目の所為なのだろうか。開かれていた銀時の左手が握り締められる。_それだけの動作からも目が離せないなんて。

「そんな甘い思考で何が出来る?国を守る事は愚か、仲間さえも護れねェだろうよ」
「……てめェを止め…いや、助けるぐれぇなら出来るさ」
「そうかい」

ジリ、と互いに足を引く。他の奴らもまだ戦っているようだったが、気に留める事は出来ない。小さく息を吸う。己の目で狙う位置を定め、一度だけ瞬き。閉じた目蓋が開いた時には足が動いていた。刀を握る手に力がこもっていた。
ガキン、と大きな音をたてて、真剣と木刀がぶつかる。その動きで傷口が開き、血が肌を伝う感覚がした。銀時が終戦直後に姿を消した時から、俺が世界の破壊を決めた日から。いつかこんな日が来るとは思っていた。
しかしいざ来てみるとそれは現実味を帯びていないもので。

「____」

何かを堪えるように歯を食いしばっていた銀時が不意に口を開いた。こんな時にまで、この男は。刀で弾き、再び距離をとる。悲しそうに目を細めたあの顔に、微かに届いたあの声に。一瞬でも気が散った自分に舌打ちをする。

_ここで世界を壊すという思想が揺らげば、銀時のあの表情を二度と見なくて済むのだろうか。

なんて馬鹿げた思考は鳴り響いた爆音に掻き消された。しかし依然として銀時のあの言葉が耳にまとわりついて離れない。なんて馬鹿なのだろう。



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高銀はいつになったら幸せになるのでしょう。本誌読むのが凄く辛いです。
_の所の台詞はご想像にお任せします。


  

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