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モヤモヤする…
この感情はなんなのか。


先生と話していると、僅かに、本当に僅かにだが
微笑むようになったアイツ。

自分から先生に話しかけるようにもなったアイツ。


先生は俺が尊敬する唯一の人。
先生と一緒にいてその魅力に気づかないヤツはいない。
いたらソイツは馬鹿だ、
人間やり直せ。


だから、アイツが先生を慕い始めたのも別に当然のことだと思ってる。

けど…、
どこかイライラする…

季節がもう冬になろうとしているのに、
相変わらず俺たちには無関心を貫くアイツ。

ヅラなんかはしつこく話しかけているがほとんど相手にされてない。

ま、頷くくらいの反応をもらえるようになっただけ進歩した、と言えるのかもしれないが。

……とりあえずヅラが調子にのりだしてウザかったから、禿げる呪いをかけてみた…効果はまだない。


興味なんかなかったはずなんだ、
だけど気がつくとアイツのことを考え、
目がアイツを追っている…


アイツが微笑むと何故か俺も微笑んでしまう。

ヅラにその顔を見られて、焦ったように熱をはかろうとしやがるから、とりあえず殴っておいた。
…俺は悪くない。


ふとした瞬間にする、全てを諦めているような、悲しんでいるような表情に、

ひどく胸がしめつけられる…

――そんな顔をするな、と

――傍にいてやりたい、と

柄にもなく思ってしまう。


この感情に名前をつけるなら、先生…
貴方ならなんと名前をつけてくれたのでしょうか。


きっと優しく微笑みながら、
教えててくれたのかもしれませんね…


だけど俺は訊かなかった。
今一番アイツの近くにいる先生に訊くことが、何故かとても悔しくて…
先生のことが大好きで教わるのも大好きなのに、どうしても嫌だった。


だから、その時の俺は、まぁ、気になるといっても親が子を見守るような…ペットを気にかけるようなのと同じだろう、と自分を納得させていた。




………それ以上の感情があった、ということに気づいたのは…



―――初めてアイツの瞳に俺が映った日。





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あきゅろす。
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