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出会い


ある日、先生が連れて来たアイツ。

満開の桜と澄みわたる青空に不釣り合いなほど、やる気のないツラをしていたな…

笑わない
話さない


いつも部屋の片隅に座り、刀を抱きしめ

寝るか
外を眺めるかしているアイツ


その瞳もどこか虚ろで

見ているようで何も見ていない

何物にも興味がない

そんな瞳をしていた


同じ部屋にいる俺たちを認識しているのかすらわからない


別に興味なんてなかった。
先生が何故アイツを連れて来たのかは気になるけれど

ただ、それだけ

それだけだった


だけど、気づいちまったんだ

何も映していないと思っていたアイツ

けど、先生だけは

その瞳にしっかりと映っていたんだ

先生を信頼しているわけじゃない。
どこか疑うような

不安、警戒をはらんだ

そんな瞳。

だけど、どんな感情からでも

アイツは先生を見ていた
認識していた

先生はアイツの世界に存在していたんだ


それが…面白くなかった

俺の、俺たちの先生なのに
(俺たちのことは認識すらしていないのに)
アイツの世界にただ一人いる先生
(俺たちが入れない世界にいる先生)
先生をとるな、という
(何故先生だけなのか、という)
幼い独占欲
(わからない感情)

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