永き夢路への扉
第42話 天の恵み…?
20分経過
「・・・・遅い」
30分経過
「遅すぎるっ!!一体いつまで待てばいいんだぁ〜!!」
カイは道路の向かい側にある店から漂ってくる美味しそうな匂いと空腹に必死で耐えていた
「ヒナタがいないと金ねぇし…食べられないし…腹減ったぁ〜」
大体、お前に預けたら計画もなしに全部使い切るだろ、なんて俺は子供じゃないっての!
壁にもたれてしゃがみ込んで半泣きになっているとカイに1人の赤髪の小さな少年が近づいてきた
「おにーちゃん、これ食べる?」
少年が差し出したのは少年の小さな手のひらいっぱいサイズの焼き立てのパンだった
「え・・・良いのか?」
「うんっ!ママがね、おにーさんお腹空いてそうだから分けてあげなさいって!」
そう言って少年が指差した窓の先を見ると軽く頭を下げた女性がいた。
おそらく、この少年の母親なんだろう
「ありがとな、少年♪」
俺は少年と母親らしき女性に礼を言うとパンを頬張った
しかもそのパンは焼き立てでとても柔らかくホカホカしてて美味しかった。
「美味いっ!」
あの学園の幻の食堂メニューである"オムそばロール"を食べた時の感動みたいに凄いな!
「でしょ♪ママのパンは美味しいんだ〜♪」
「ママのって…これ、きみのママが作ったのか?」
「きみじゃないよ!ぼく、マルクだよ!ママね、あのパン屋さんで色んなパンを作ってるの。それでね、おにーちゃんずっとここにいたでしょ?ママがね、おにーちゃんたぶんお腹を空かせてるだろうからパンを持って行ってあげなさいって!」
茶色の瞳を輝かせ自分の自慢をするかのように笑顔で話すマルクが可愛いなぁと思いつつマルクの母親に感謝した。
「ありがとな、マルク。とても美味しかったですってママに言っといてくれるかな?」
最後の一口を食べ終わるとマルクの頭を撫で立ち上がろうとした、その時―――
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