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次世代TOV連載
episode07
episode07

「当時ね新人の人当たりのいい騎士がいて、ある日わたしとユミィが皇族の勉強の日の世話を任されたんだけど休憩の合間にも遊んでくれて優しくてまだわたし達7つの子どもでそれだけで気を許しちゃって休憩の時に淹れてくれた紅茶をわたし達は躊躇わず飲んだのよ。
そしたら急に眠気が襲ってきて……気がついたら誘拐されてた」

犯人は皇族としてユミィとエミィを相応しくないと前々からいっていた皇族の血統を重んじる一派の貴族達だった。そしてその騎士の家もその一派だったという。
貴族の一部では未だに皇族の血統を汚した存在として皇位継承権を破棄したユミィとエミィを今でもそんな目で見る人は少なくない。

「幸い怪我もなく、速急に事態に気づいたフレンさんがお父さん達に頼んで助けてもらったんだけど…やっぱりショックだったよ子どもとしては……」

遠い目をしてエミィは話す。その瞳には哀しみが帯びていた。


「…でもユミルもエミィもどこの誰かも分からないわたしを助けて護ってくれたよ?…わたしにとって二人は皇族とかいう前にエミィとユミルっていう一人の人間だから」

そっとエミィの強く握ってた拳を優しく包んでファリカは優しい声でエミィの目からそらさずに己の気持ちを言った。
エミィはどこか驚いて…でも手に伝わる温もりが嬉しくて微笑んだ。

「ありがとう、ファリカ。最後の言葉…ユミィも同じようなこと昔いってた」

怖かったのは誘拐されたコトじゃなくて自分自身が『いらない』と捕まった時に言われたことだった。
生まれてきてはいけない存在だったのかと…言葉にしなくても捕まっていた時にずっとソレばかり考えていた。ユミィと違って満月の子としての力もないエミィは特にだ。
そんな時だ。手の自由を拘束具で奪われていてもユミィはエミィの手を握って
目の前の犯人達に強気で叫んだ。

「どんな血だろうと、俺たちの命は俺たちのだ。
他人のくだらない理由で安々と殺されるつもりはない!」

妹を護るように前に出て果敢な態度でいてもやはり恐いのだろう。繋いでいてわかる震えているユミィの手をエミィはぎゅっと力強く握りしめてお互いの勇気にした。


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