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次世代TOV連載
episode03
ユミィの満月の子としてその力が分かったのは五つの時だった
エミィや他の子ども達と遊んでいたときにエミィが足に怪我をして泣きながら帰ってきた
ちょうどその日にはユーリしかおらず治療は手当しかなくユーリが救急箱を取りに行って戻ってきたときにはユミィがエミィの傷を触れてユミィの身体に刻まれた術式によってエミィの怪我を治したのだった


episode02


「んで、あたしのところでユミルの身体に刻まれた術式をエステルの精霊による術式を応用して新しい変換術式にしたってわけ。けどまたエステルのようなこともあるかもしれないからエステルやユーリ、双子とアタシ以外には他言無用にしておいたの」

リタの言葉はもっともであったがフレンはどこか納得のいかない顔をしていた

「ごめんなさいフレン、ユーリが余計な心配を増やすなと口止めされていて…」

エステルの言葉はきっと譲歩してユーリの言葉を伝えたのだろう
親友の性格が分かっているからこそただエステルの申し訳なさそうな言葉に苦笑するしかなかった

「いえ、アイツの言いそうなことくらい分かりますよ…けれどユーリももう少し信用してくれても」
   
口を濁しながら呟くとエミィは片手を上げて

「お父さんはきっとバレたらでフレンさんの半端ない過保護ッぷりが目に見えたんだと思いマース」

そういわれてフレンは的確な親友の娘の言葉に少し後ろに影を落とした

「まあ、これでエステリーゼの方はひとまず安心でしょう。警戒は怠りませんが
彼らがなぜファリカさんを狙うのかは分かりませんし、その目的や動向も未だ不明ですから」
「ニセ魔核の方はウチの研究所で引き続いて調査するわ。こんなまがい物で魔導器を
使おうだなんて冗談じゃないわ」

リタの言葉にヨーデルはもちろんです、と返事をした

「ではここからはユミィとエミィに帝国からギルド凛々の明星に依頼を申し出させていただきます」

その言葉にユミィ達は姿勢を正しヨーデルを見る

「ダングレストのユニオン本部に今回の件に対しての協力出願を要請します。二人にはそれをユニオン首領のハリー氏に直接渡してほしい
その身でネオ・ジーニアスに対峙した二人にしか頼めないことです。お引き受けできますか?」

ヨーデルのその言葉にいうでもなく二人はうなずいた

「夜空に瞬く凛々の明星の名にかけてお受けします」

ユミィの言葉にヨーデルはありがとうございます、と頭を下げた

「あ、あの…」

今まで口を開いていなかったファリカが意を決したかのように言葉をいう

「わたしも…わたしもユミルやエミィと一緒に行っていいですか?」

皆が驚く中彼女は真剣そのものだった

「ファリカ…本気?いっとくけどすっごく危険だよ」

心配が隠せない様子でエミィはファリカに問いかけた

「はい…でもわたし見てみたい。星喰みの無くなった世界を…そして色んなコトを知りたい」


その少女の言葉にエステルは昔を思い出す
仲間と共に色んなものを知って見て自分の世界を広げたあの旅を

「エミィ、彼女の選んだことです。連れてってあげません?」
「俺はいいよ。ファリカが選んだことだし、それに危ないなら俺たちが護ってあげればいい」

「違うか?」と問うユミィにエミィはしばらく考えた後に観念したように笑っていった

「確かにまたアイツらが来たときに一緒にいた方が安全だし、それに護るって約束したもんね」
「っありがとう!ユミル、エミィ」

二人の言葉が嬉しくてファリカは二人の手を握って感謝を述べた

「あーじゃあついでにウチのガキンチョも頼める?」

リタから出てきた言葉にアトリは驚いて抗議をした

「なにいってんだよ?!オレっちだけハブ?!ハブなの?!」
「そういうとこだけ父親に似るな!そうじゃなくてアンタには別に頼みたいことあるのよ」

頭にリタの拳が振ってきてアトリは頭を押さえつつ
リタの話の続きを聞いていた

「いい?ダングレストの近くにケーブ・モック大森林という所があるの。最近ここのエアルクレーネ付近で精霊が目撃されたのよ」

リタが言うには今現在確認されている精霊にはいない新しい精霊らしくアトリにその精霊について調査を頼みたいとのことだった
最初は渋々聞いていたアトリだったが話を聞いていくにつれて眼の色が輝いてきた

「行くっ!それなら行く!!」
「えらい変わり身の早い…」
「アトリの専門は精霊学だし、当たり前の反応だよ」

アトリの反応に少々呆れながらも何ともアトリらしいとも二人は思った
そんなアトリが辺りで小躍りしてる中、リタの目にふとファリカの付けていた首飾りが目に入る

「あんたその首飾り…魔導器?」

リタの問いにファリカはふるふると横に首を振る

「いえ、これはおとうさんとわたしを繋ぐモノだっておばあちゃんがいってました
だから肌身離さずに持ってなさいって」

深い蒼の色の輝石をあしらったその首飾りをファリカは慈しむように見る

「魔導器じゃないとしたら…うーん、その石もどこかで見たことあるような…でもなんか違うのよね」
「あの…リタさん?」

ファリカの言葉にリタはハッと気がついて首飾りを見る手を止める

「なんでもないわ、昔見た石に似てた気がしたのよ…それより少しいい?アンタの体内の術式変えないと」

今のままのファリカの変換術式では一方的にエアルを消費してしまう為にリタはエステルやユミィと同じ術式に書き換え始めた

「術式にプロテクトをかけといたからこれで敵にもアンタの位置を感知されることもないから」
「ありがとうございます、リタさん」
「ま、まあ変なヤツにアンタみたいな子を利用されたくないしね」

そっぽ向いて少し頬を染めて言うリタを見て
「照れてやんの」とからかったアトリの頭に再びキツイ拳骨が振ってきたのは言うまでもなかった

***

ユミィ達が城を出た後にエーデルは私室の机に保管しておいた一通の古い手紙を取り出した

「あの時に『コレ』を渡されて知っていた事実とはいえ…あの子達にはやはり心苦しいものがありますね」
「しかし陛下、現に『復興派』の一部が裏で動いているとの報告があります」

フレンがヨーデルに渡したのは彼が即位して極秘にて作られた諜報部のものからだった

「いつもお早いお仕事です。さすが〈鴉〉がまとめているだけはありますね」
「ま、胡散臭くてしっぽが掴めないのが唯一得意としてるヤツだしね」

リタの遠回しの褒め言葉にエステルはついくすりと笑ってしまった

「今は時がくるまで僕たちのやるべきコトをやりましょう。あの子達の未来がより良くなるように」


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あきゅろす。
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