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過去拍手2(三笠×吉野)
(三笠×吉野)
雨の深い日だ。スティックしか持っていない俺だけど、隣にいる三笠は背負ったベースを濡らさないように四苦八苦している。
「吉野」
三笠の声はいつも優しい。
そういうと他の人にはそんなことないだろ、と否定されることもよくあるけど、基本的に身内には甘い男だと思う。
「あのさ、会って欲しいんだよね」
珍しく、歯切れの悪い言葉だった。
「誰と」
「親」
一瞬、俺は呼吸を止めた。そんなこと言われるなんて予想外だった。
「付き合ってる奴いるって言ったら、会わせろって。俺のとこ、母親だけだけど」
「むり...じゃない」
即座に断ってしまいそうになったけど、思い直して会うという返事をしてしまった。
だって、これから先、こんなこと、ついて回るんだ。俺が三笠の隣にいたい限り。
「無理してない?」
三笠が心配そうに顔を覗きこんだけど、心配ないという風に頷いてみせる。
「あのさ」
三笠の手が俺の手に絡んだ。
「母親が何て言っても、吉野が何て言っても、俺はお前を離してやれないよ。ずっと俺の横にいて」
真っ直ぐな、それでいて少し歪な告白に、目眩を起こすような幸せを感じた。
雨のなか、伸ばした腕は濡れる。重ねた手も濡れる。
それでも、三笠が隣にいてくれるんだと思えば、それだけで生きていける気がした。
「あいしてる」
珍しく呟いた愛の告白は、大きな雨の音に消された。
END
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たぶん三笠は吉野っちの告白聞こえてる...笑
拍手、ありがとうございました!
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