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黒金という剣士

その日、目が覚めると、屋敷の外にいた。
というか車にのせられていた。

「ん...」

手を動かそうとしたけど、いまいち動かない。でも、拘束してるふうでもなかった。
これはきっと術だ。

「憑人?」

「なんだ、起きたのか」

聞こえてきた声は、憑人のものでも、赤彦のものでもなかった。
それよりもっと男らしく低い声。

「だれ、」

俺が問うと、男は笑って名を名乗った。
「俺は黒金だ、ガキ」
「もう成人してる」
「そーかよ」

「あんたの...目的は?」

黒金は俺の質問に答えようとせず、後部座席の俺の隣でふんぞり返っている。

「おまえ、赤彦の名前が継がれたものだってことは知ってんのか?」
「知ってるよ。前の赤彦は剣野赤彦。今が筑波嶺」

黒金はさっきからずっと不適な笑みを浮かべていて、正直気味が悪い。
俺様オーラが漂っていて、こういうやつ、嫌いだ。

「赤彦ってのは、最強の剣士が継ぐ名前だ。でも、他にも継承されてる名前が有るんだよ」

「それが黒金?」

俺が問うと、黒金は「勘がいいな」と笑った。

「でも、黒金だけじゃねぇよ。白木(しろき)、群青、緑子」

「全部剣士?」

「あぁ、俺も他のやつらも、赤彦とおなじだ」

赤彦の同類。
黒金はいかにも強そうで、普段は強さの欠片も見せない赤彦とは全然違う。

でも、確かに赤彦が本気になったときのオーラと似ている気がした。


「で、どうして俺を連れてきたの?」

黒金の口角が綺麗につり上がった。俺のタイプじゃないけど、ワイルド系の美形だ。
でもその笑みからは...嫌な予感しかしない。

「赤彦殲滅作戦のため」





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