main あいみての2 そのあと、見学していった競技かるた部は恵にとって未知の世界だった。 何を言ってるかさえ分からない間に、手が動く。 恵は百人一首を覚えていないので、さっぱりわけがわからない。 そのあと、一通り試合が終わった。 恵は自分は試合をしていなかったのに、息を詰めて、見続けていた。 「さっすが山瀬くん、負けちゃった」 「三枚差しかつかないとは思わなかった。筑波は最近力つけてる」 「ふふふ、ありがと」 「あの!」 突然声をあげた恵に、部員たちの視線が集まる。 「俺!この部活入りたいです!」 たった一試合で、恵は競技かるたに魅せられていた。 「よっしゃ!部員ゲット!」 他の部員たちも恵を温かく迎えてくれた。 ただひとり、恵を激しくにらんでくる玉緒を除いて。 [*前へ] [戻る] |