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イデア!2

「と、このようにこの世界のすべては、完璧な状態でイデアにあるわけです」

「なるほど!プラトン先生、私たちはほんとうの世界が見えていないというわけですね」

「はい、これを洞窟の比喩で説明できます」


プラトンが講義を終えると、生徒たちは知的興奮覚めやらぬ様子で議論を始めた。
それをプラトンは微笑ましく思い、自分の執務室に戻る。

この学校の代表であるプラトンにはやらなければならない仕事が山積みだ。

しかし、すぐにそれには集中できなくなる。

「せんせい」

アリストテレス、このアカディアきっての天才の声に、プラトンは顔をあげる。彼は卒業生にも関わらず、よくここへやってくる。

「アリストテレス」
「まだ、イデア論なんて唱えているんですか?」

不遜な笑みで彼が発した言葉は、プラトンという師匠の論を否定するものだった。

「アリストテレス、君の考えも素晴らしいと思う。しかし、イデア...理想の世界はあるんだよ」

アリストテレスは来る度に、プラトンの考えを否定してみせる。
しかし、プラトンだって人生をかけてつくりあげた論なのだ。論破されるつもりもない。

「イデアがないはずがないんだ。もしないのなら、この世界がこんなに汚れて醜く愚かしいのは何故だ?お前はその説明ができるのか?」

「それは、先生、愚かしいのが人間ですよ。人を恐れ妬み、虐げる。人間だからこそ行うのです」

そう語る彼の瞳の奥は、少し淀んでいた。このアテネ出身ではない彼は、その才能にみあわない冷遇を受けてきた。そんな彼がいう言葉には、重みがある。

しかし、プラトンもプラトンなりの理由があって、イデアを信じている。
それは、彼の深い闇を救う哲学であるのだ。

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あきゅろす。
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