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あまねく恋と言うものは!後編
ケーキと夕飯が出来上がり、階人は奏の帰りを今か今かと待ち構えていた。
表情が薄い奏の笑顔を見るのは、なかなか骨が折れるのだが、今日のケーキはうまくできたし、階人は自信満々である。
ガチャ
そろそろ奏が帰ってくる頃だろうと思い、耳をすませていると、鍵を開ける音がしたので、一目散に玄関へ向かう。
「奏!おかえり」
最上の笑顔で階人は出迎えたが、目の前の奏はとてもやつれていた。
「ん、ただいま、階人」
そういってキスを贈る奏から、血の匂いがすることを階人はすぐに気づいた。
階人の様子から、奏も気づかれたことを悟り、苦笑してみせる。
「ごめんね、すぐシャワーする」
階人は浴室へ向かう奏に、何も言うことはできなかった。
シャワーを終えて、ふたりで夕食をとりはじめると、奏は無表情ながらおいしそうに食べる。
階人は夕食をすべて食べ終えた奏に「あのさ、ケーキあるんだけど」と声をかけた。
「え?生クリームプレイ?」
「ばか」
奏は冗談を言うときも無表情なので、冗談に聞こえない。
「はは、ごめん。...ありがとう、俺のために作ってくれたんだろ?」
奏はケーキの準備をしに、立ち上がった階人をぎゅっと抱きしめた。
「今日もさ、ころしてきたんだよね」
奏の言葉に小さく頷く。
「俺は、人を殺すことなんてなんとも思ってないけど」「うん」
「俺は、そういう人間だから。息を吸うように人を殺す」
「うん」
奏は大きく息を吐き、ちゅ、と階人に口づけた。
「でも、そんな人間が、階人の隣にいて良いのかって思う。お前は俺なんかと一緒にいてはダメだって、本当は知ってる」
「ばか!ばか!奏のばかやろう」
「え?」
いきなりの階人の罵倒に、奏は目を丸くする。
「俺は奏が好きだからそばにいるのに...」
奏はそんな階人の様子を見て、微笑む。
「ありがとう、階人」
「なんてことが、あったな、階人」
「えっ!?今までの全部回想!?」
「そうに決まってるだろ。もう俺迷わないし」
ちゅ、とリップ音を響かせて、奏はキスを贈る。
「あー、でも」
「なに?」
奏の思い口調に階人は不安そうに上目遣いをする。
「生クリームプレイしたくなった」
「...冗談だよね?」
「いや、本気」
「やんっ...変なとこ...サワラなぃ...ふぁぁっ」
今日もふたりはバカップル
end
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