[携帯モード] [URL送信]

main
Alpha dog7
(三笠視点)

「あ〜つっかれったなぁ」
変な節をつけながら歌うが、わりとガチでヘロヘロだ。

こないだライブあったばっかなのに、今日は大学の行事の手伝い。
そんなに真面目な生徒じゃないのに、ほら俺って優秀だからさ?白羽の矢が当たっちまった。

でも!そんなのも全部終わって、やっと部屋についた!中にはマイスウィートハニーの吉野がいる。

かわいくてかわいくて、あいつのことを考えてるだけで、疲れが飛んでいく気がした。

「よーしーのー!ただいま〜」
返事はない。
「寝てんのか?」
そう思って寝室に入るが、いない。
部屋中を探したが、いない。

「どこ、いってる?」
あまり外出が好きではない吉野が、ひとりで買い物にいくことなんて滅多にないし、心配になってきた。

「ん?これ、書き置き?」
途方に暮れていたとき、リビングの机の上に、吉野の右上がりの字が並んだ紙を見つけた。

どくん、嫌な予感が体を駆ける。

---------------------------------------------
三笠へ

今までごめん、いろいろあって、別れさせてほしい。
バンドも抜けようと思う。

美作たちにも謝っといてほしい。

今までもたくさん迷惑かけたとは思うけど、これ以上は嫌だから。
だから、探さないでください。

あいしてた、

吉野
--------------------------------------------

意味がわからなかった。
吉野に迷惑をかけられた覚えはないし、わかれたいって、そんなそぶり見せてなかった。


どうして、どうして、どうして。
そればっかり頭を巡る。

頭同様に役に立たない体を無理矢理動かして、なんとか美作と椎名に電話した。






「結城、大丈夫か?」
椎名がとても心配そうな顔をしてやってきた。その後ろには美作もいる。

俺はふたりに書き置きを見せて、事情を説明した。

「十中八九、ネガティブが暴走したんだろうな。あいつ、悪いほう悪いほうに考えるから」
吉野と一番付き合いの長い美作が、腕を組んで言う。
俺も椎名もそれに同意する。

「きっと、どっかでひとりで、苦しんでる...」

俺がそう呟くと、椎名が
「手分けして探そう」
と言った。
「結城、結城が広田を迎えにいってやれ」
「あぁ、」

俺たちは吉野を探しに街へ出た。


結城が街へ出ていったあとで、美作と椎名は合流していた。

「しーな、吉野ちゃんは結城に任せて大丈夫かな」
「俺たちが闇雲に探すより、あいつにやらせたほうがいい」
「それもそーね。...じゃあ俺たちは、吉野ちゃん追い込んだやつに仕返しでもしましょーか!」

ふたりは、吉野を三笠に任せて、心当たりの人物のところへ、向かった。
そいつがどうなったのかは、神のみぞ知る。

[*前へ][次へ#]

7/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!