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Alpha dog7
(三笠視点)
「あ〜つっかれったなぁ」
変な節をつけながら歌うが、わりとガチでヘロヘロだ。
こないだライブあったばっかなのに、今日は大学の行事の手伝い。
そんなに真面目な生徒じゃないのに、ほら俺って優秀だからさ?白羽の矢が当たっちまった。
でも!そんなのも全部終わって、やっと部屋についた!中にはマイスウィートハニーの吉野がいる。
かわいくてかわいくて、あいつのことを考えてるだけで、疲れが飛んでいく気がした。
「よーしーのー!ただいま〜」
返事はない。
「寝てんのか?」
そう思って寝室に入るが、いない。
部屋中を探したが、いない。
「どこ、いってる?」
あまり外出が好きではない吉野が、ひとりで買い物にいくことなんて滅多にないし、心配になってきた。
「ん?これ、書き置き?」
途方に暮れていたとき、リビングの机の上に、吉野の右上がりの字が並んだ紙を見つけた。
どくん、嫌な予感が体を駆ける。
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三笠へ
今までごめん、いろいろあって、別れさせてほしい。
バンドも抜けようと思う。
美作たちにも謝っといてほしい。
今までもたくさん迷惑かけたとは思うけど、これ以上は嫌だから。
だから、探さないでください。
あいしてた、
吉野
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意味がわからなかった。
吉野に迷惑をかけられた覚えはないし、わかれたいって、そんなそぶり見せてなかった。
どうして、どうして、どうして。
そればっかり頭を巡る。
頭同様に役に立たない体を無理矢理動かして、なんとか美作と椎名に電話した。
「結城、大丈夫か?」
椎名がとても心配そうな顔をしてやってきた。その後ろには美作もいる。
俺はふたりに書き置きを見せて、事情を説明した。
「十中八九、ネガティブが暴走したんだろうな。あいつ、悪いほう悪いほうに考えるから」
吉野と一番付き合いの長い美作が、腕を組んで言う。
俺も椎名もそれに同意する。
「きっと、どっかでひとりで、苦しんでる...」
俺がそう呟くと、椎名が
「手分けして探そう」
と言った。
「結城、結城が広田を迎えにいってやれ」
「あぁ、」
俺たちは吉野を探しに街へ出た。
結城が街へ出ていったあとで、美作と椎名は合流していた。
「しーな、吉野ちゃんは結城に任せて大丈夫かな」
「俺たちが闇雲に探すより、あいつにやらせたほうがいい」
「それもそーね。...じゃあ俺たちは、吉野ちゃん追い込んだやつに仕返しでもしましょーか!」
ふたりは、吉野を三笠に任せて、心当たりの人物のところへ、向かった。
そいつがどうなったのかは、神のみぞ知る。
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