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Alpha dog6

今日は、1日三笠がいない日だ。
大学のなんたらかんたらシンポジウムがどうちゃらで、発達的サポートケアがウニゃウニゃ、と言われたけれど、文学部の俺にはさっぱりだった。

大事なのは、三笠が夜まで帰ってこないってことで、あいつが帰ってくるまで、俺はひとりぼっちってことだ。


ピーンポーン
ひとりきりの部屋では、チャイムの音が妙に響く。
「はーい」

玄関のドアを開けると、そこには辻がいた。

「あれ、辻くん?」
「はい、ちょっと中入れさせてもらっていいですか?」
「え。あ、うん」

昨日と何か雰囲気違うなぁと思いながらも、リビングに通した。

「なぁ、広田さん」
「なに?」
「あんたは、cold whaleにふさわしくねぇよ」

突然告げられた一言に、目を見開く。
辻が纏う雰囲気は、完全に昨日と違っている。昨日はわんこ風だったけど、今日は...こわい。

「ひとりだけ、技術が未熟だし、あんたにだけ華がない。なにより」

こわいこわいこわい。
辻の顔が近づいてくる。
「あんたがゲイだってばれたら、どーなるんでしょーね?」
「えっ」
「色々調べたんですよ。あんた結城さんの恋人なんですってね。でも、cold whaleは女性ファンも多いのに、バレたらどうなるんしょう?」

前髪を掴まれてひっぱられる。
痛い。
でも、それ以上に心が痛い。

だって、辻に言われたこと、全部自分で思ってた。

俺はひとりだけ下手で、人間的魅力もなくて、三笠を独占できるような人間じゃないのに 。
「あー、それにさ、結城さんもあんたも大学生でしたよね?大学でゲイって噂広めちゃおーかなぁ」

楽しげにいう、辻の足元に土下座してすがり付く。
「おねがっ...お願いします。何でもしますから!三笠に迷惑はかけたくないんです...!」

俺のその台詞を待っていたのか、奴はさっき以上に笑みを深くして、俺の耳元で囁いた。
「じゃあ...______」

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