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Alpha dog2
「おはよう」

昨日の情事のあと、シャワーを浴びてすぐ、沈むように眠っていた。目覚めるとかなりの至近距離に、三笠の顔があった。

「おはよ」
「ふふ、すげぇ掠れてるよ」
「うるさい」

寝返りを打って、立ち上がろうとすると、三笠に腕をとられる。
「離せ」
「やーだ」

再びベッドに沈められ、啄むようなキスをされる。
「三笠」
「なぁに?」
「今日はもうやらんよ」

そう言っても、奴のキス攻撃は止まない。
「吉野、ちょっと訛ってる、かーわいぃ」
「黙れ、話逸らすな」
「んー、なんでだめなのー?」

そんなこともわからないのか、と思って、三笠の無駄に整った顔面を手のひらで押しのける。

「明日、ライブだろ。練習」
「明日でしょ?しかも夜。練習なんて腐るほどしてるんだし」
「無理、俺下手だから」

今度は止める腕も振りきって、部屋の隅に置かれたドラムセットの前に座る。
この部屋には、ドラムとベースとベッドしかない。

「ふふ、」
「どうした?」
「吉野と同棲してよかったなって思ってるの」
「俺も、思ってるよ。でも、唐突」

「だって、ふたりで暮らせば、家賃半額でしょ?そしたら防音の部屋あるやつだって借りれたし、そしたらベッドに寝そべりながら吉野の演奏姿が見られるし」


三笠は俺が演奏しているところを見たがる。
俺からすると、細くて貧相な体格と無駄にリーチが長いのが際立って、割りと不格好だと思うのだけど、三笠はそれが美しいという。

でも、俺は三笠の姿の方がよっぽど美しいと思う。だって、綺麗に筋肉のついた体と、長くて綺麗な指。あの指がベースを弾いて、その指が俺のナカを弄っているのだと思うと、堪らなくなる。

俺は指だけで三笠に欲情できると思う。

それから、脱色して痛みきった俺の金髪と違って、一度も染めたことのないような、黒髪。左耳だけに開けたピアス。

どれもこれもが、結城三笠という存在を際立たせていて、それだけで一級の芸術品に思える。
「三笠」
「ん?どうしたの」

「セッションしよ」

すると三笠は笑ってベッドから飛び降りた。
「もちろん、よろこんで」

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