短編 クリスマスの夜 「長雨、雷、サンタさんとトナカイさんとどっちがいいの?」 ゆーきにそうきかれた。 「…………」 ケーキの上にのっかったサンタとトナカイをみくらべる。 「何、雷、むすっとして。いらないの?」 「…………」 「ちがうよな、雷。どっちにしようかなやんでるんだろ?」 おれのとなりで、にーちゃんがわらっていった。うなずくと、にーちゃんはゆーきをみて、ゆった。 「お母さん、サンタも、トナカイも、雷にあげていいよ」 「いいの?長雨、あんた自分の誕生日だってチョコのプレート雷にあげたじゃない」 にーちゃんはおれをみて、ふにゃりとわらった。 「だって、サンタさんとトナカイさんがいっしょじゃないと、プレゼントがくばれなくなっちゃうもんな」 サンタは、トナカイのソリにのってやってくるんだって。このあいだ、にーちゃんがえほんをよんでくれた。 おれのケーキのうえに、サンタとトナカイがのっかった。チョコのプレートもいっしょについた。 「ほら、雷、おててあわせて」 にーちゃんとおなじように、あごのところでてのひらをあわせる。 「いただきます」 「いたーきまー」 いちばんおおきなくちでフォークにさしたケーキをたべる。にーちゃんがわらう。 「ほら、雷、くちのまわり」 くちのはしっこを、にーちゃんがティッシュでふいてくれた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |