番外編
8
二人を帰してから、俺は管理小屋に戻ってすぐさま携帯を手に取った。
「っ…なん、で、大牙」
涙声が掠れている。長雨の頬に触れた。
「何でって…一つしかねぇだろ」
俺はその瞬間、多分笑っていた。こいつに見せた事の無い、否、ひた隠しにしてきた男の顔をして。
「おまえが、」
くっ、と、何故か息が詰まって、続きが言えなくなった。長雨が不思議そうな目で俺を見つめる。
おまえが、
何も言えずに、ただ抱き締めた。頭の中でぐるぐると、溶岩がかき混ぜられている気がする。熱い。
「大、牙…!」
拒む声に誘われるように、引き倒して、めちゃくちゃに唇をなぶった。
「っ、や…!」
長雨の目から涙がこぼれる。その声が、その体が拒んでいる。
それが俺には痛い。それでも、止められない。
「長雨」
俺を拒む長雨の体を無理矢理に開いた。
「長雨、長雨」
どうすることも出来ない。
「長雨」
ただひたすらに、ガキみたいに名前を呼んだ。分からない。なんなんだこれは。
長雨の体にも中身にも、傷をつけているのは自分だし、そう望んでいたはずなのに、泣いてほしくなくて親指の腹で濡れた頬を撫でた。
自分がどんなツラをしてるか、想像もつかなかった。
【次章に続く】
息を吐いた。一気に打ち込んだ文章を保存して、携帯を閉じた。
今回は添削は少なくて済みそうだ。
予定通りいけそうだな。
お約束にすれちがったりヤったり後悔したり自棄になったり泣いたり喚いたり青春な経緯。
まぁ詳細は未定だが、安心してくれ、俺の可愛い読者たち。
ハッピーエンドだけは約束しよう。
なぁ、クロ?
2008.4.6.
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