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番外編
6

「………イイコだねぇ、水上ちゃん」
「いや、イイコじゃないです」

すぱっと否定される。顔を上げた水上ちゃんは、美形とは違うが、知性的な顔つきをしてる、と思う。ああ、こいつは多分、30、40になってから女にモテまくるタイプだな。

「じゃあお人好しだな。俺ゃあんたをからかったんだ。謝るのはこっちのはずだろ」

くしゅくしゅ頭を撫でてみる。色は同じなのに、クロの髪とは違う柔らかい髪だった。

「仲直りしてくれんのか、この悪いおっちゃんと」

一瞬きょとんとしてから、水上ちゃんはふにゃりと笑った。

「はい」




うん、イイね。




「クロめ」

見る目あるじゃねぇか。
水上ちゃんが気を緩めたように笑う。

「あの、クロって、ハギさんがつけたんですか」
「ん?おお」
「かわいいっすね」
「ぴったりだろ?」
「はい」

よく分かってやがる。

「仲がいいんですね、大牙と」
「いやぁ?もちつもたれつってトコだな。別に仲がいいワケじゃねぇよ」
「でも、あんな大牙初めて見ました」
「あんな?」

水上ちゃんは喋りながら仕事も再開した。

「なんていうか…歳相応な感じの」

ああ。そういう事か。

「付き合いが長ぇからな。いつももっと大人っぽい?」
「そうですね」
「どっちのがスキ?」

ちょっとは悩むか驚くだろうと思ったら、水上ちゃんは仕事をしながら即答した。

「どっちも好きです」









ああ、本当にイイな。













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