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番外編
3




俺は市村萩。
職業はここ、白虹学園の門番兼警備員。
マイブームは携帯のインターネットで創作小説サイトの運営。ジャンルはもっぱらホモ。ホモエロ。最近ではボーイズラヴとか言うらしいな。

これがまた楽しいんだわ。
女の子が毎日大勢来るわ、ラブレターまがいのメールは送ってくるわ、泣きましたとかかわいい事言ってくれるわ、もうたまらん。

暇潰しにふざけて始めた娯楽だったが、今じゃなかなかどうして、楽しんでる。



「市村、お前水上をこき使う気じゃねぇだろうな」

スコップやら肥料やらを山のように、だけど軽々背負ったクロに話かけられて、肩を竦めた。

「働かざる者食うべからずって言うだろ?文句あんのか」

クロが珍しく、不愉快そうなツラをする。ふーん?

「随分あのコが大事らしいな?」

ちょっとおちょくってみた。『ボーイズラヴ』の世界だったらここで顔を真っ赤にしたりするんだろうが、クロは不愉快そうに顔を歪めただけだった。つくづくストイックでつまんねぇ野郎だ。ガキの癖に。

俺のサイトには冒頭にこんな注意書きがある。






『18歳未満立ち入り禁止』


じゃなかった、



『当サイトの作品は全てフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません』な。






小説の主人公は『黒石大牙』。
キレやすくて性欲と破壊欲を持て余した高校二年生。独占欲は強い癖に自分は浮気しまくる軽率なガキだ。最低な野郎だが世の中の読者(主にお嬢さん)にゃ一番人気。俺も気に入ってる。


運営を始めて数か月。ボチボチ人気も出始めた。しばらくはとにかく『黒石』の乱れまくった学園生活を書いていたが、最近一部の読者様からある質問が出てきた。




『黒石くんは恋をしないんですか?』




ボーイズラヴの読者ってのは可愛い生き物だと思う。
一部の読者は登場人物の一挙一動に、結構反応する。そいつが傷つけられれば悲しむし、幸せそうなら喜ぶ。
その質問をくれたのは、前から『黒石』の歪んだ性格を心配していた子達だった。



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あきゅろす。
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