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番外編
2

思わず舌打ちが出た。

「いいとこだったのに」
「?メールがか?…まぁ、一通くらいなら待ってやるけど、早くしてくれ。あんたが言い出したんだからな」
「…………」

メール作成画面を閉じて、立ち上がる。携帯を尻のポケットにしまった。

分かってねぇな。

これから数時間かけて書いて
読み返して添削して
また読み返して添削して
一晩寝てまた読み返して添削して
それで更新できりゃ良い方なんだ。
4割くらいはさらに一晩寝かせて添削する。
また4割くらいはそのままボツになる。
ストレートに読者の目に晒せるのはものすごく筆が乗った時書いた内の精々2割。
創作ってのは奥が深ぇのよ。

「いいのか?」

クロは俺を不思議そうに見た。

「構うな、長ェメールだ」

ぷらぷら手を振りながら、管理小屋を出る。目の前には、さっき妄想の舞台になっていた用具室への扉と、ツナギに着替えた小僧が一匹。

まぁ、クロちゃんは夢にも思わねぇだろうな。まさか自分がネット上で野郎とあんなことになってるなんざ。
しかも、

「よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げた、この地味なクラスメイトが相手だ、なんざ。

「ツナギ似合うじゃねぇの。水上ちゃん」

ニヤニヤしながら感想を言うと、水上長雨は困ったようなツラになった。ふーん、警戒してんな。まぁ、出会い頭に結構からかったからなぁ。

クロに話を持ち掛けられたのは、先週、俺の畑の手入れが終わってからの事だった。




『市村、野菜分けてやりたい奴がいるんだけど、いいか』


こいつがそんな事を言ったのは、三年目に入った付き合いの中で初めてのことだった。聞けば、最近野菜を分けてやる代わりにメシを作ってくれるクラスメイトが出来たらしい。それがこの水上長雨だった。

とりあえず今日。日曜だし朝から連れてこさせた。ま、当然、野菜をタダでやるなんて筋合いはねぇ。お前も畑の手入れを覚えろ、と言えば、水上長雨はガキみてぇにきらきらしたツラをして頷いた。珍しいヤツだ。

野郎三人で小屋を離れて歩き出した。



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あきゅろす。
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